トップページ > 資料保管庫 > 薬害イレッサ 書庫 > 薬害イレッサ 和解勧告
イレッサは、イギリスに本社を置くアストラゼネカ社が開発した肺がん治療薬。2002年7月、日本が世界初の製造承認をしました。5カ月という異例の速さで審査をおこなった結果です。
「副作用の少ない夢の新薬」という宣伝で売り出されましたが、発売直後から多数の副作用被害者を出しています。2010年3月まで間に810人の副作用死が報告されています。
医薬品の承認制度のあり方、宣伝広告・販売のあり方を問う裁判は、2010年8月に結審し、2011年3月までに判決を迎えました。
2011年1月7日、大阪地方裁判所と東京地方裁判所は、薬害イレッサ訴訟に関する和解勧告をおこないました。
その勧告の中で裁判所は、致死的な間質性肺炎について十分な注意喚起を行なわなかった被告企業および被告国の責任を、明確に指摘しています。特に、承認時の初版添付文書についての被告らの責任を指摘していることは画期的で、今後の薬害防止において有益です。
臨床試験や拡大治験プログラムで観察された重大な副作用を、死亡例があれば表記し、重要な順番に並べるという当然のことを指摘しています。このルールが通らないようでしたら、審査担当者や医療従事者は何をもとに安全対策をしていけばよいのかわからなくなります。
医療現場が求めているのは、和解勧告に反対の意思表示した専門学会の幹部とは違い、隠蔽や誇張のない情報提示です。企業から研究費をもらいながら、発売前から重い副作用はないと宣伝に荷担した専門医が、今になって規制は不要ということは、副作用で亡くなった患者を愚弄するものです。
情報提供の基準を所見のように明確にすることは、ドラッグラグを拡大するどころか、承認審査を進めやすくすると考えます。
2011年1月12日、原告団は和解の席に着くことを回答しました。
原告らは,裁判所の平成23年11月7日付和解勧告に対し,以下のとおり回答します。
原告らは,上記和解勧告をを受け入れ,和解の席につき,本件を和解手続により解決することとします。
和解解決にあたって,原告らは,以下のとおりの内容による解決を求める所存です。
1 原告ら全員の救済
2 未提訴被害者の救済のための枠組みの創設
3 別紙のとおりの平成22年8月25日付け全面解決要求書要求事項の実現。
1月28日、和解勧告は被告側に拒否され、判決を待つこととなりました。
2011年2月25日(金) 15:00 大阪地方裁判所 202号法廷
2011年3月23日(水) 15:00 東京地方裁判所 101号法廷
勧告と所見は、裁判所の意向で非公開とされました。このため、被告側は「副作用が全てわかるまで承認できないとすれば,抗がん剤が承認されなくなる」など、所見に記載のされていないことまで理由にあげて反発しました。
弁護団がまとめた和解所見・勧告要旨や、被告側意見に対する反論文書をお読みください。
河北新報 社説 「イレッサ」副作用/抗がん剤にも救済制度を (2011/2/11)
信濃毎日新聞 社説 イレッサ訴訟 新薬の光と影を伝えたか (2011/2/4)
社説 イレッサ和解拒否 国は責任ないと言えるのか│ くまにちコム (2011/1/31)
【社説】イレッサ訴訟 副作用救済の制度化を - 中国新聞 (2011/1/29)
イレッサ訴訟 悲劇のもとに何があるか / 西日本新聞 社説 (2011/1/29)
中日新聞:イレッサ訴訟 なお歩み寄りの道探れ:社説 (2011/1/29)
イレッサ訴訟 国は副作用死の教訓を生かせ : 社説(読売新聞) (2011/1/29)
イレッサ被害「防げたはず」 元薬系技官トップが厚労省批判 読売新聞(2011/1/19)
社説:イレッサ 誰のための副作用情報 - 毎日新聞 (2011/1/28)
主張/薬害イレッサ和解勧告/生命の尊厳奪った責任果たせ しんぶん赤旗 (2011/1/11)
社説:薬害イレッサ訴訟 がん患者の命の重さ - 毎日新聞 (2011/1/9)
イレッサ訴訟―和解に向け、協議進めよ 朝日新聞社:社説 (2011/1/8)
▼ 薬害イレッサ 訴訟 まとめページ
イレッサ薬害被害者の会 裁判関連資料もご覧ください。
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