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国の和解拒否は許されない

2011年1月27日

薬害イレッサ訴訟統一原告・弁護団

 参議院議員会館で開催された「薬害イレッサの全面解決をめざす怒りの院内集会」において配付された資料

1 和解勧告所見が指摘する国の責任

  • 承認前の国内治験・治験外使用の副作用報告から致死的な間質性肺炎の発症予測可能
  • 承認当時、医師や患者が「イレッサは副作用が少ない薬」と認識
  • しかし、初版添付文書での注意喚起の記載は不十分だった。
  •  →責任あり

    ※ 得られていた副作用情報を医療現場に十分に情報提供すれば被害は防げた

    2 和解協議拒否を正当化する理由はない

     所見に書いてないことをもとに所見を批判し、患者や医療界の不安を煽る対応は不当

    「薬事行政の根幹にかかわる」

    反論:薬害C型肝炎のときと同じセリフ

    「副作用が全てわかるまで承認できないとすれば、抗がん剤が承認されなくなる」

    反論:所見は、承認までに把握していた副作用の情報提供が不十分と指摘しているだけ

    「イレッサの承認が問題となれば、他の新薬で慎重にならざるを得なくなる」

    反論:所見は、承認が問題とは言っていない

    「イレッサは人為的過誤による薬害被害とは異なる。」

    反論:承認前に分かっていた副作用情報を十分伝えず被害者を出すのは人為的過誤であり、薬害。

    「不可避の副作用を認めなければ、効果のある患者も恩恵を受けらず、医療崩壊となる。」

     反論:所見は、副作用を認めないとは言っていない。副作用情報の提供に問題があったことを指摘している。副作用情報を提供するとなぜ医療崩壊となるのか理解不能。

    「承認後に分かった内容で承認時の責任が問われるならば、薬事行政の根幹を揺るがす」

    反論:所見は、承認までに分かっていた内容を前提にして判断

    「治験外使用の副作用報告まで検討していたら承認が遅れる」

    反論:イレッサの治験外使用は、ア社の管理下にあった拡大治験プログラム(EAP)
       治験外の副作用症例も報告義務が定められており、審査の対象とされている
       イレッサの審査でも国は治験外の副作用症例を検討していた
       問題は、国が判断を誤り、添付文書の情報提供が不十分だったこと

    「治験外の症例も治験と同様に厳格に審査すると、臨床研究から状態のよくない患者が排除される」

    反論:所見は治験外の症例も治験と同様に厳格に審査せよと言っていない。

    「添付文書に記載があるのに責任を問われるのはおかしい」

    反論:記載があっても不十分なら責任が問われることは、薬害肝炎東京地裁判決も指摘
     ソリブジン事件(添付文書に記載があったが不十分で死者が出たため、厚生省は報告書作成し、国会審議を経て、添付文書の記載要領を改訂して通知)イレッサの承認はその後)の教訓が生かされていない。

    「添付文書の重大な副作用欄の4番目に記載されていたことを問題にするのはおかしい」

    反論:所見は記載順だけを問題にしているのではない。「重大な副作用欄の初めにこれを記載した上,致死的なものとなりうることについて,同欄又はその他の欄において記載するよう行政指導することが適切であった」と指摘している。
     間質性肺炎より上に記載されていた下痢や肝機能障害は、臨床上余り問題とならないとする専門家見解がア社により提供されていたことを前提に指摘している

    3 和解協議拒否は許されない

    1. 集団薬害訴訟で国が席につかなかった例なし → 政権の基本姿勢が問われる
    2. 大阪判決(2月25日)・東京判決(3月23日)と2回敗訴 ― 薬事行政の信頼失墜
    3. 厚労大臣が実行を約束した「薬害肝炎検証再発防止委員会」最終提言に反する

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