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くすりの話 あれこれ ~代々木病院~
No.93:薬で花粉症が治る!?
薬剤師 井出 郁英
今や国民病と言われている花粉症。日本人の花粉症に占める割合は30%と言われており、その中でも最も多いのがスギ花粉症です。
そのスギ花粉症を治す、または長期にわたって花粉症状を抑えることが期待できる新薬が今、話題になっています。
スギ花粉エキスを舌の裏側に垂らして2分間待ってから飲み込み、そのあと5分間はうがい・飲食を控えるという使用方法の舌下液です。
現在 花粉症の主な治療薬には、アレルギー症状を起こす物質が体内に出ないようにする「メディエーター遊離抑制薬」アレルギー症状を起こすヒスタミンをブロックする「抗ヒスタミン薬」 強力な炎症抑制作用と免疫の働きを弱める作用がある「ステロイド薬」鼻粘膜に貼れを引き起こす物質が放出されるのを抑える「抗ロイコトリエン薬」などがあります。
これらは症状を抑える対象医療薬として広く使われていますが、この他に「アレルゲン免疫療法」というものもあります。
アレルギーの原因物質であるアレルゲンを少量から徐々に投与することで体をアレルゲンに慣らしアレルゲンに対する過敏症を減少させる治療法です。
これまでこの療法は皮下注射による治療が中心でした。しかし注射による痛みや長期に渡る通院が患者の負担となりあまり普及されませんでした。
そんな中6月以降に発売予定の「シダトレンRスギ花粉舌下液」は12歳以上が対象1日1回服用で2、3年間は毎日続けるという薬になります。今までの注射にくらべ痛みもなく自宅で行えるという利点があり治療を受けた患者さんの約70%の方は症状が減少し約10%の方は完治したと言われています。
しかしアレルギーの原因物質を直接服用するためアレルギー反応によるアナフィラシーショックなどの重篤な副作用の危険性もあり充分注意が必要です。医師は講習を受けて登録されないと処方できず薬局も処方せんがきた場合登録医がどうか確認するシステムとなります。
以前は病院でしかもらえなかったアレルギー薬も最近は市販薬で購入することができるようになったりと選択の幅が広がってきています。
根本的な治療となり得るこの舌下液が安全に使用できてスギ花粉で苦しんでいる患者さんが少しでも楽になることを期待したいです。