くすりの話 あれこれ ~代々木病院~

No.91:患者さんの状況に沿った服薬支援

薬剤師 一由 久美子

服薬支援は薬剤師の仕事の中でも重要なテーマのひとつです。薬剤師が処方せんに沿って服薬指導やお薬説明書とともに薬をお渡ししてもその薬を上手に使用できなければ何にもなりません。

服薬上で困っていることはないか?口から薬が飲みこめるか?麻痺があるか?耳や目は不自由ではないか?など患者さんの情報を共有し、個々の患者さんそれぞれの状況に沿った支援が重要だと考えています。

たとえば体に片麻痺がある場合は一包化された薬を開封するのに薬がこぼれないように分包紙を固定しハサミで切らねばなりません。分包紙に切込みを入れることで開けやすくなります。また電動レターオープナーを使うと開封が便利です。

片手で軟膏を開けるときに軟膏壺の下に滑り止めを敷くことで開けやすくなります。

またベッド上で服用する場合は体を45度まで起こし介護者に頭部を支えてもらうと服用しやすくなります。

さらに水を飲むときに鼻に当たるコップの部分をU字型に切り込んだり、とろみをつける工夫をすることで服用しやすくなります。

目に視野狭窄や白内障など障害のある場合はお薬説明書の薬の写真と実際の薬を比べて識別すること 薬袋や分包紙を色分けして区別することがが難しい場合があります。

手持ちの薬を変更する場合などには配慮が必要です。薬袋などには黒字で大きく出来ればゴシック体の文字で書くのが一番わかりやすいようです。

服用方法や薬の剤型も多種になり、薬の使い方が複雑になっていますので 一人ひとりの生活に合った服用方法や剤型の選択などをご提案できたらと思っています。

長期に渡って日常的に薬を使用することが普通になっている中、高齢者自身が薬を自己管理しているケースも多くなっています

少しでも自立性を維持するということは生きる意欲にもつながります

介護用品の中には手軽に利用できる薬を服用するための補助用具がいろいろ揃ってきています

これらの提案なども含めて適切な薬の自己管理の継続や服用の支援にこれからも力を注いでいきたいと思っています。お困りのことがあれば是非かかりつけの薬剤師にご相談ください。

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