くすりの話 あれこれ ~代々木病院~

No.150:副作用情報を知るということについて

間 規子 薬剤師 たくみ外苑薬局

「薬剤師は(以下省略)、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、調剤した薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供しなければならない」。これは薬剤師法第25条の2の情報提供の条文です。薬を安全に使用できるように適切な情報提供をすることとされています。

薬を安全に使用するための情報と言えば副作用情報ですが、「薬局で副作用の説明をされて、そんな薬怖いから飲まなかった」、「怖くなって飲めなくなるような説明をしないで欲しい」とのご意見をいただくことがあります。適切な説明ではなかったことを反省しつつ、副作用というリスク情報が一般的には「危険だ、使わない」と認識されていることを、説明する薬局側と説明を受ける患者さん側の相互理解で変えていくことも必要かなと思います。

副作用情報は伝えていかなければならない理由があります。それは、これまでの副作用(未知の副作用も含めた)被害の教訓を活かして、回避できる被害を回避する、最小限にするためです。日本にはサリドマイド、スモン、薬害エイズ、薬害肝炎など、正しい薬の情報提供の重大さを教えてくれた歴史があります。世界的にもこれまでの薬の被害を教訓に情報提供の体制が強化されています。副作用情報を得ることで「危険だ、使うな」だけではなく「予め注意することができる、万が一副作用が起きてもいち早く対策がとれる」という考えにもつながるのではないかと思います。時には薬を使用しないことも一つの選択です。有用性と安全性について正しく、十分な情報提供を受けて選択した家庭があることが重要です。

副作用というリスク情報を知ることは、そのリスクに対する準備ができる、薬を安全に使用することにつながると感じていただけたら幸いです。薬を飲むことに疑問や不安などあった時、薬局に相談していただければと思います。

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