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くすりの話 あれこれ ~代々木病院~
No.120:「ポリファーマシー」という言葉をご存知ですか
槙野 和文 薬剤師 代々木病院
ポリファーマシーは多剤内服と訳されることが多く、必要以上の薬や不必要な薬まで内服している状態のことをいいます。6種類以上で薬物有害作用(薬剤の副作用や薬剤の併用による薬剤間相互作用により起こる好ましくない作用)のリスクが増加するという報告もありますが、何剤以上飲んでいれば必ずポリファーマシーというものではありません。数種類でも薬物有害作用がある状態ならポリファーマシー、10種類以上飲んでいても薬物有害作用がなければポリファーマシーではないということになります。
ポリファーマシーの状態では薬物有害作用の発生頻度が増える可能性があります。さらに服薬数が増えることによって医療費の増大、飲み忘れや飲み間違いが起こる可能性も増えますし、薬が余ってしまい家に大量に薬が残ってしまう残薬も増えます。
ポリファーマシーが起こりやすいのはどういう時でしょうか。例えば、薬の副作用かもしれない症状に対して別の薬をもらうときや、複数の症状に対して、複数の医療機関を受診し別々の薬局で薬をもらったりする場合にポリファーマシーに陥りやすいと考えられます。お勧めしたいのは、どこの病院、クリニック等にかかっても処方箋は必ず1か所のかかりつけ薬局に持っていくことです。かかりつけ薬局では現在内服している薬の情報から同じ成分の薬を飲んでいないか、飲み合わせが悪くないかなどのチェックをしてくれます。
また、現在複数の薬局から薬をもらっている方もお薬手帳は一冊にまとめるようにし、受診時や薬局に行った際には必ず医師、薬剤師に見せていただくようにお願いします。そして薬の飲み忘れなどがある場合は正確に医師、薬剤師に伝えてください。薬は病気の治療にとってとても重要ですが、たくさん飲めば良いというものではありません。患者さまにとって最適な治療となるようにポリファーマシーを防いでいきたいと思います。