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くすりの話 あれこれ ~代々木病院~
No.117:健やかに老いるため、是非「フレイル」対策を
白根加代子 薬剤師 たくみ外苑薬局
どなたも、元気に自立して日常生活を送り続けたいと思うでしょう。その為には、身体の健康、精神心理の健康、生きがいや社会参加が欠かせません。
「フレイル」とは、「frailty(虚弱)」から命名され、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態と、日本老年医学会は定義しています。具体的には、次の5項目のうち3項目が該当するとフレイル、1~2項目の場合をプレ・フ
イルとみなします。
①年間で4~5kgまたは5%以上体重が減少した。
②をするのも面倒、何かを始める事ができない、と週に3~4日以上感じる。
③標準より20%以上筋力、握力が低下。
④準より20%以上歩行スピードが低下。
⑤体の活動性の低下。
身体的な側面だけではなく、精神的にも低下し、全体的な低下を来した状態と捉えた事に特徴があります。
更に、口腔機能が低下して固いものを噛めなくなり、噛む能力や嚥下力が低下するとタンパク摂取不足や低栄養状態となり、より体重減少が加速するという悪循環にも陥ります。
多くの方は健常な状態から、フレイルの時期を経て要介護状態に至ります。フレイルの人は、生命予後が悪く、入院のリスクが高く、転倒する可能性も高いと言われ、複数の疾患を持ち、複数の薬剤を内服している方が多い傾向にあります。
フレイルの状態を早期発見し、早期に対応することで、要介護に至る方を減らし、健康寿命をのばすことができるのではないか、と様々な研究が行われています。
筋肉量の簡易な自己評価として、「指輪っかテスト」をやってみましょう。
ふくらはぎの最も太い部分を両手の親指と人差し指で囲みます。囲めないほど太ければ危険性は低いですが、丁度囲めたり、隙間が出来るほどふくらはぎが細い人は筋肉量減少症の危険性が高いので、運動量を増やし、栄養も補給しましょう。
筋肉を増やす為にはウォーキングなどの有酸素運動と筋トレが必要です。最低1日5~6千歩を毎日継続すると、筋力の低下を防げると言われています。
食事では蛋白質摂取がポイントです。高齢者では腎機能障害をもつ人も多いので注意が必要ですが、フレイルの予防を考えると、性別を問わず体重1kg当たり1gのタンパク質を毎日食事から取ることが望ましいといわれます。