くすりの話 あれこれ ~代々木病院~

No.110:将来の薬局のあるべき姿 ~健康サポート薬局~

西村清志 薬剤師 たくみ外苑薬局

今年初旬に大手ドラッグストアに端を発した「薬歴未記載問題」。その後の点検で未記載は約81万件に及びました。不正だけではなく、ケアレスミスも含めての数字でしたが、国民から厳しい視線にさらされました。

3月には保険薬局の主業務でもある処方箋調剤の根幹となる医薬分業について、規制改革会議が「医薬分業における規制の見直しについて」と題する公開ディスカッションを開催。「医療機関の周りに門前薬局が乱立し、患者の服薬情報の一元的な把握などの機能が必ずしも発揮できていないなど、患者本位の医薬分業になっていない。医薬分業を推進するため、患者の負担が大きくなっている一方で、負担の増加に見合うサービスの向上や医薬分業の効果などを実感できていない」など厳しい指摘を受けました。

6月には規制改革会議の「規制改革に関する第3次答申」があり、「規制改革実施計画」が閣議決定されました。薬局全体の改革の方向性について検討すること、薬局の機能やサービスに応じた調剤報酬となるように、抜本的な見直しなどが決められました。

このような情勢で、厚生労働省では6月から進めてきた健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会を経て、9月に将来の薬局のあるべき姿として「健康サポート薬局のあり方について」をまとめました。

健康サポート薬局は、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的機能(①服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導、②24時間対応、在宅医療対応、③かかりつけ医を始めとした医療機関や地域包括支援センターなどとの連携)を有し、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する薬局と定義されました。

具体的には、①医薬品等の安全かつ適正な使用に関する助言を行うこと、②健康の維持・増進に関する相談を幅広く受け付け、必要に応じかかりつけ医を始め適切な専門職種や関係機関に紹介すること、③地域の薬局の中で率先して地域住民の健康サポートを積極的かつ具体的に実施すること、④地域の薬局への情報発信、取組支援等を行うといった積極的な取組を実施することなどが求められました。薬局・薬剤師にはさらなる努力が求められています。

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