くすりの話 あれこれ ~代々木病院~

No.104:神経障害性疼痛 -傷や炎症などないのに痛みがある場合は要注意-

中村めぐみ 薬剤師 たくみ外苑薬局

「神経障害性疼痛」、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

神経障害性疼痛は、病気などで神経の切断・圧迫により神経が障害されることによる痛みです。

神経障害性疼痛は帯状疱疹が治った後の長引く痛みや、糖尿病の合併症に伴う痛みやしびれ、坐骨神経痛、また脳卒中や脊髄損傷による痛みなどがあります。傷や炎症などが無いにも関わらず痛みがある場合には、神経が原因になっていることがあります。

神経障害性疼痛は40歳代以上に多く、日本では約600万人以上の患者さんがいると推定されています。

神経障害性疼痛の痛みは、針で刺されるような痛み、電気が走るような痛み、焼けるようなひりひりする痛み、しびれの強い痛みなどが特徴です。

痛みの治療には、薬物療法と神経ブロックなどの治療法があり、症状によって組み合わせたりすることもあります。

薬物療法に用いる主な剤には、プレガバリン(商品名:リリカ)という神経障害性疼痛治療薬があります。痛みを伝える物質の過剰放出を抑えることで痛みを和らげますが、めまい、眠気の副作用が現れることがあります。

治療困難な場合には、 商品名:トラムセットが用いられることがあります。この薬はトラマドールとアセトアミノフェンとの合剤です。風邪などでアセトアミノフェン含有製剤が処方される場合には、併用に注意が必要です。

ロキソプロフェンNa、メロキシカムなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬、いわゆる「痛み止め」は、炎症に対する痛みに対して処方されます。胃障害の副作用に注意が必要です。神経障害性疼痛は、炎症を伴う場合もあるため使われています。

その他、ビタミンB12製剤のメコバラミン(末梢神経障害用薬)も使われることがあります。また、痛みの治療薬として開発された薬剤ではありませんが、抗うつ薬、抗てんかん薬、抗不整脈薬が鎮痛補助薬として使われます。さらに、医療用麻薬鎮痛薬、弱オピオイド製剤があります。

痛みは慢性化する前に我慢しないで、主治医に相談してください。場合によっては、整形外科・麻酔科などと連携をとる必要があります。

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