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くすりの話 あれこれ ~代々木病院~
No.103:医療安全のために「薬歴簿」、「お薬説明書」や「お薬手帳」などを活用
西村清志 薬剤師 たくみ外苑薬局
今年2月に大手ドラッグチェーンの薬局で大量の薬剤服用歴簿(薬歴簿)が未記載のまま「薬剤服用歴管理指導料」を不正請求していた問題が相次いで報道され、国民の皆様に不信感をもたらせてしまいました。
1970年台前半から、一部の薬局で、患者さんの安全に役立たせようと、患者さんごとに「薬歴簿」を作成するようになり、処方内容や患者さんからお伺いした情報(住所・連絡先、アレルギーや副作用歴、既往症、他にかかっている医療機関、併用している薬、服薬後の体調の変化、服薬状況や残薬状況、妊娠・授乳の有無など)、処方医に問い合わせた内容、患者さんにお話しした内容などを、処方せん調剤の都度、追記していました。
この薬歴簿を活用して、処方せんを監査し、お薬の重複やのみあわせなどを確認し、必要に応じて処方医に問い合わせし、薬剤調製し、患者さんにお薬の説明をしていました。
この取り組みが評価され、1986(昭和61)年4月の調剤報酬(厚生労働大臣が定める処方せん調剤の料金)の改定で、薬局薬剤師が行う「服薬指導」と「薬歴管理」が、新たに「薬剤服用歴管理指導料」として点数化されました。
それ以降、多くの薬局で薬歴簿を作成するようになり、調剤報酬の改定ごとに、薬剤服用歴管理指導料の算定要件に質の高いものが求められ、「お薬説明書」、「お薬手帳」による情報提供も普及しました。
現在、多くの薬局で、紙薬歴簿でなく、コンピュータ管理の電子薬歴が進んでいます。
今回、私たち薬局薬剤師は、薬歴簿の原点に振り返り、薬歴簿を適切に作成し、より充実させ、患者さんに役立たせていくことが信頼回復に向けての道ではないかと思います。
薬局では、患者さんに、医療安全向上、医薬品の適正使用のため、お伺いさせていただくことがありますので、ご協力をお願い致します。
他の薬局あるいは病院・診療所で受け取ったお薬について、お薬説明書やお薬手帳を持参のうえお知らせください。
病院・診療所の外来での注射薬(がん化学療法、慢性肝炎でのインターフェロンや肝機能改善薬、統合失調症の治療薬など)、血液検査の検査値(注)、使用している一般用医薬品や健康食品などについてもお知らせください。
(注)現在、全国の一部の大学病院や公立病院などでは、薬局との医療連携、医療安全向上、医薬品の適正使用のため、院外処方せんに血液検査の一部の検査値を記載する時代になっています。