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サプリメントに頼らない生活
No.94:睡眠の質を改善するサプリメント
藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
長く続く感染症対策で、運動不足による体力低下、不安ストレスの増大が問題となっています。健康食品業界は、肥満の増加、膝や筋肉の衰え、睡眠・ストレスの増加などを対象とした商品を売り込んでいます。
5月は、春先から続く自律神経の乱れ、年度替わりに伴う生活変化など、精神的ストレスが高まる時期です。精神疲労の回復には脳を休ませること、質の良い睡眠が大切です。最近発売される機能性表示食品の1割が、精神・心理的ストレスや睡眠の質、眠気などの改善をうたっています。
緑茶のうま味成分テアニンが定番でしたが、近年はγアミノ酪酸(GABA)を関与成分としてた製品が増えています。GABAは脳内にある抑制系の神経伝達物質で、精神を安定させ睡眠を誘います。睡眠導入剤のベンゾジアゼピン系薬品は、GABA受容体に作用して効果を発現します。
しかし、GABAは脳を守るバリアに遮断され、摂取しても利用されません。脳内で必要な量がブドウ糖から生合成されています。
特定保健用食品(トクホ)で、GABAは末梢の交感神経に作用して血圧を下げることを認められています。しかし、機能性表示食品で企業が主張する、「ストレスを和らげる機能や睡眠の質を改善」という効果は審査を受けたものではありません。不眠に対してお守り効果はあるのでしょうが、期待しすぎないようにしましょう。