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サプリメントに頼らない生活
No.84:イチョウ葉は認知機能に効く?
藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
イチョウ葉が「血液循環を良くする」「ボケを予防する」と聞いたことはないでしょうか。記憶能力に関わるサプリメントとして、1990年代後半から人気商品となりました。現在、認知機能を維持する機能性表示食品として、6月1日現在、91製品が販売されています。イチョウ葉エキスは、ドイツで60年代に薬として開発され、記憶障害、耳鳴り、めまいの改善に対して使用を認められています。日本では薬の承認はありません。
2008年にアメリカで発表された3069人を6年余り追跡した研究で、全認知症・アルツハイマー症について、偽薬を投与した対照群と統計学的に差がつかず、「イチョウ葉エキスは高齢者の認知機能低下に影響を及ぼさない」と結論付けられています。
それでも、認知機能に対するイチョウ葉エキスの効果を期待する研究が続けられています。販売メーカーは、そのような研究結果をもとに有効だと宣伝しています。イチョウ葉エキス製品で、商品の品質と成分の安全性が問題となったこともあります。医薬品となる可能性はあっても、まだ研究不足です。
たくさんの生薬成分を用いた漢方薬は長い臨床実践の中で、その評価を固めました。イチョウ葉は、まだ60年しか歴史のない新しいハーブ(生薬)です。審査なしに届け出だけで効能を表示できる機能性表示食品の効用は割り引いて見た方が良いでしょう。