サプリメントに頼らない生活

No.73：免疫力を高めるキノコの幻想

藤竿伊知郎（外苑企画商事、薬剤師）

消費者庁は6月25日、「新型コロナに効く」と公開をうたっていた健康食品49製品に対し、合理的な根拠が認められないとして、広告などの表示を改善するよう求めました。2月に改善要請し、今回は再始動です。あわせて、消費者への注意喚起もしました。この連載で、柿渋飴の問題点を紹介しましたが、今回、それと並んで「チャーガ茶」の問題が大きく取り上げられています。

「コロナ対策に！チャーガ茶、世界的な研究施設が『新型コロナに効く』と認めたキノコ」「コロナに負けない抗酸化作用で免疫アップ」といった宣伝が問題となりました。 チャーガ（カバノアナタメ）は白樺につくキノコで、ロシアでは煎じて飲む民間伝承療法として利用されています。しかし、国立健康・栄養研究所の評価では、「俗に、『がんに効く』『糖尿病によい』『免疫力を上げる』などと言われているが、情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない。」とされています。

キノコを食べると免疫力が高まるという説は、繰り返し注目されてきました。残念なことに、いまだに臨床試験で実証されたものはありません。夢のような効果を紹介する記事には、商品販売元の影が隠れています。高いお金を払って怪しいキノコ製品を買うのでしたら、スーパーで普通に買えるキノコを使ってメニューを豊かにすることをお勧めします。

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