サプリメントに頼らない生活

No.66:「科学的根拠」がある効能とは

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

No.65「医師がすすめるサプリの信頼性」の続きです。

「科学的根拠がある」という説明は強いアピールポイントです。根拠を「エビデンス」と書くと、さらに信頼感が増すようです。

医療分野でこの30年ほどは、根拠に基づく医療(EBM)が浸透してきました。臨床経験の豊富な医師が効果が高いと推奨した治療法でも、再評価によって消えることがあるためです。理論的に効くはずの薬でも、多数の患者に使った場合、効果がなかったり、副作用が生じることがあります。

権威者が自信を持っていても、偏ったケースの経験からの考えかもしれません。いかに優秀な研究者でも、自分が信奉する理論にしばられ、最新の研究にもとづく評価ができなくなりがちです。

医薬品でも過剰販売による薬害・薬漬け医療などの問題がありました。サプリメントについてはより厳しい注意が必要です。

製造会社がスポンサーとなった少数の研究だけでエビデンスがあると称しています。多数の人間で有効性や安全性を確かめた研究でなければ、科学的根拠とはよべません。

機能性表示食品の開発研究費は医薬品と比べると格安ですが、数千万円規模の費用が必要です。企業の出資を受けた研究で、有効性・安全性を客観的に評価できるか疑念が残ります。

広告を信じないという自衛だけでなく、販売に対する公的規制を求めていく必要があります。

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