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サプリメントに頼らない生活
No.62:「免疫力」とうたう食品広告に注意
藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
ウイルスの感染を防ごうと、「免疫力」を高める食品が注目されています。乳酸菌飲料は前年比2倍以上の売上高となり、納豆やキムチなどの発酵食品の購入も増えています。57回でも紹介しましたが、話題の食品・素材について、「ウイルス感染症に効くという十分な情報なない」と国は注意を呼びかけています。
インフルエンザの予防効果が報告されたとうた乳酸菌飲料の宣伝が、冬になるとあふれます。しかし、病気の予防・治療をうたうことは医薬品でしか許されないため、製品の説明書には効くとは書いていません。
効能をうたいたいなら、必要な研究をし、承認申請するのが販売会社の義務です。医薬品として承認されるには、広告で紹介されている程度の研究では不足です。「十分な情報はない」ということは、現時点で効くとは認められないというお役所表現です。
「免疫力」という言葉は科学ではなくマーケティング用語です。病原体感染に対して体を守る免疫は複雑なシステムで、一部の免疫細胞の活性値や抗体量の増加を測ることで防御能力を評価することはできません。能力低下が問題となるだけでなくシステムが暴走して自分の体を傷つけることもあります。「免疫力」をうたう説明は販売目的で作られることが多く、話半分に聞きましょう。
広告情報に振り回され特定の食品にすがるのではなく、食事の充実が一番です。