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サプリメントに頼らない生活
No.59:ウイルス除去、間違えると危険な消毒液
藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
消毒用アルコール不足が解消できない中、消毒液として「次亜塩素酸水」が注目を集めています。無償配布がニュースとなったりしています。標準的な消毒液として「次亜塩素酸ナトリウム液」があります。この2つは違いに注意して取り扱わないと危険です。
コロナウイルスは、エンベロープとよばれる脂質二重膜でできた袋で包まれています。その表面には感染の時にカギとなるタンパク質のスパイクが突き出しています。アルコールや洗剤(界面活性剤)は脂質を溶かし袋を破るとともに、スパイクの構造を変性させて、ウイルスの感染力を消します。また、塩素も酸化力で同じ効果を出します。
次亜塩素酸水は、医療機器の消毒や生野菜の洗浄に塩素の殺菌力が利用されています。有効塩素濃度は、10~80ppmと目的に応じて幅があり、水中の塩素濃度は時間とともに低下し、有機物の存在で消費されます。
次亜塩素酸ナトリウム液は塩素濃度を安定させるため水酸化ナトリウムを加えており、使用時に100倍に薄めてもpHは11という強いアルカリ性を示します。そのため、使用後の水拭きが必須です。また、皮膚の腐食性が高く、スプレーしたものを吸い込めば肺に障害を起こしてしまいます。
拭き取りと洗い流しでウイルス量を減らすことが基本です。消毒液の使い間違いは健康被害を引き起こすことに気をつけましょう。