サプリメントに頼らない生活

No.51:筋肉量維持はサップリメントで可能か

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

売り上げが伸びている機能性表示食品に対し、医薬品と誤認させる宣伝があるとして、行政が動きました。2018年11月、「歩行能力の改善」という表示で販売していた商品の広告が、厚生労働省が医薬品医療機器法(薬機法)に抵触する恐れがあると消費者庁へ指摘しました。その後3月末にかけて、販売していた会社は届け出を取り下げました。


高齢者の健康な生活を保つために、筋肉量を維持し活動低下を防ぐことの大切さが注目されています。筋力の衰えが気になる高齢者へ、必須アミノ酸のロイシンやその代謝物を含むサプリメントの売り込みが活発になっています。


効果が無い物質を、「ガンが消滅する」などと宣伝して病人へ買わせることを薬機法は取り締まっています。今回、歩行能力の「改善」は医薬品のような効果として表示できなくなりましたが、「力がかかる足の曲げ伸ばしなどの運動を併用」したときに筋力の維持に役立つ報告があるとして、広告表現の改善だけで収束し、商品の販売は続いています。


私たちが知りたいのは、薬のような期待を持たせた商品の大宣伝が続く中、本当に役に立つ製品が販売されているのかということです。筋肉の維持に役立つかどうか、企業が示す科学的根拠の内容に、厚生労働省はもっと踏み込んだチェックをするように期待します。

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