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サプリメントに頼らない生活
No.50:酵素を飲んでも、消化されてしまう
藤竿 伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
7月号で酵素食品の問題を紹介しました。酵素製品の宣伝では、食事に含まれる栄養素を消化・燃焼させてエネルギーに変える酵素の大切さを強調します。その上で「加齢や不規則な生活によって不足する」と不安をあおり、「これを飲んで調子が良くなった」という個人の体験談で売り込む手法が使われています。
酵素は、生命活動に必要な成分を合成し、不要になった物質の分解を促進する「触媒」として働く「タンパク質」分子です。消化機能が落ちた患者さんに消化酵素製剤を用いるなど、有用な物質です。しかし、分子サイズが大きくて腸壁を通り抜けられず、それ自体が消化酵素で分解されることから、体内に吸収されて十分な機能を果たすとは考えにくいものです。
消炎酵素製剤は、痰を溶かして排出しやすくしたり、炎症による腫れを抑える薬として30年以上使われてきましたが、薬効再評価の結果、2011年から2016年までの間にすべて販売中止となっています。医療費のムダ遣いでもあり、効果があると信じて使っていた人にはショックな話でした。
ダイエット用として話題の酵素製品は、野菜や果物を発酵させた食品で、どんな有効成分が入っているかも明らかにしていません。さらに、どんな物質でも、必要な臓器まで届かなければ効くわけがありません。広告のうたい文句には気をつけましょう。