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サプリメントに頼らない生活
No.46:治療以外では控えたいビタミンE
藤竿 伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
先回、ビタミンE過剰摂取の注意について書きましたが、今回は効果について紹介します。
ビタミンEは、体を構成する細胞の膜に存在し、生体膜の安定作用・情報伝達調整作用などをになっています。1922年に食事で不足するとネズミが不妊となる新規成分として発見されました。通常、欠乏症を気にする必要はありません。
1950年代から血液循環を良くする薬として利用が広まりました。手足の冷え・しびれ、しもやけなどに、血行を促進することで有効性が認められています。血行障害の程度に応じて100~300mgのビタミンEを治療に用います。処方せんなしで購入できる大衆薬の製品も販売されています。
近年、ビタミンEが持つ抗酸化作用に注目が集まり、免疫賦活作用・がん予防などに使えるのではないかと、研究が続けられています。
しかし、効果があるという結果は乏しく、治療薬として使える段階にはありません。今後、医薬品の適応が拡がる可能性はありますが、素人判断で使って良い物質ではないと考えます。
過剰な活性酸素が酸化ストレスとなり老化や発がんを引き起こすという理論は、消費者に広まっています。
しかし、活性酸素は、生体内に侵入した病原微生物を攻撃する武器として使われています。活性酸素を怖がり、過剰な抗酸化物質を摂取することは、かえって体のバランスを崩すことになるでしょう。