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サプリメントに頼らない生活
No.44:過剰になると危ない、ビタミンD
藤竿 伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
ビタミンDはカルシウムの吸収量を増やし、骨の形成を促進するビタミンです。直接摂取するだけでなく、日光を浴びることで食品中に含まれるビタミン前駆物質から体内で生成されます。さらに、肝臓と腎臓で必要な分だけ代謝を受け、活性型となって効果を発揮します。
食事からのビタミンD摂取目安量は、成人で1日5.5μg(マイクログラム)。微量で効果を上げる活性の高い物質です。日本人の食事では、キクラゲ・シイタケのようなキノコ類や、カツオ・サケなどの魚からビタミンDを摂っています。脂溶性ビタミンなので、脂質を含む動物性食品や、炒め物のような油を使った調理により効率よく摂取できます。「国民健康・栄養調査」によると、成人の平均摂取量は7.6μgで必要量を満たしています。
ビタミンDは脂溶性で体内に蓄積されるため、過剰に摂ることで問題を起こします。上限の目安は1日100μgです。血液中のカルシウム濃度を高める作用により、過剰にとり続けると、血管壁や腎臓、心筋などの筋肉組織にカルシウムが沈着し、動脈硬化・腎障害など重大な疾病をまねきます。
医療では、骨粗鬆症の治療で適切な量の活性型ビタミンD製剤を使い、十分なカルシウム代謝を保つようにしています。食事から摂取するものと、日光浴で生成されるビタミンDの量であれば、必要なカルシウム吸収能力を制御できますが、サプリメントで過剰のビタミンDを追加することは危険です。活性が高く蓄積されやすいという性質を忘れないようにしましょう。