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サプリメントに頼らない生活
No.32:老眼進行を遅らせ「ピント調節力」は改善するのか
藤竿 伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
中高年の老眼進行を遅らせ「ピント調節力」をうたう機能性表示食品が売れています。
「臨床試験済み」との宣伝で、前身の製品と比べて初年度で5倍の売り上げとなりました。
製品に配合したアスタキサンチンなど4成分が、視力向上に効くとしています。メーカーは、配合根拠を質問した消費者団体に対して「4成分を配合する旧商品において効果実感の声」があることと、「臨床試験で効果を確認」と回答しています。
アスタキサンチン単独の効果は、国立健康・栄養研究所の評価で「信頼できる十分なデータは見当たらない」という水準です。
製品を使った臨床試験では、45~64歳の48名を、成分を含まない偽薬服用群と2群に分け、4週間服用した結果を比較し、ピントを合わせることが出来る近点距離に有意差が出ました。ただし、片目の試験では差がつかず、両目でやっと差がついたレベルです。また、質問票に応える主観評価で、15項目のうち「目のかすみ」「肩や首の凝り」だけに、有意差がつきました。しかし、「目のかすみ」対象者は25人、「肩や首の凝り」は41人と、項目ごとに評価人数は変わっており、信頼性に問題があります。
少人数、短期間の試験をおこなったこの論文1報で、「試験済み」というのは無理があります。
届出時点の安全性評価では、2007年から販売している旧製品で会社に報告があった健康被害について、「個人の体質や体調」が原因であったとしています。
有効性、安全性ともに、情報不足の製品が、「行間を読ませるテクニック」で売られています。現時点で、服用はおすすめできません。