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サプリメントに頼らない生活
No.24:成分不足のトクホ、初の許可取消処分
藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
9月23日、消費者庁は、日本サプリメントが販売する「ペプチド茶」「豆鼓エキスつぶタイプ」など6商品の特定保健用食品(トクホ)表示許可を取り消しました。表示の100分の一程度しか有効成分が含まれてないことや、判明した後2年以上も報告せずに販売を続けていたためです。1991年にトクホ制度ができて、初の取り消し処分です。
このことから、トクホ制度の問題点が浮かび上がっています。一つは、承認時の審査さえ通過すれば、その後の品質保証は企業任せということです。消費者庁がトクホ製品の一部を買い取り調査する制度は、2017年度から始める予定でした。会社から申し出がなければ、今回の不正もわかりませんでした。さらに事件後、トクホ製品1270品目の現状を調べるための成分調査でさえ、業者に指示して回答を待つ状況です。
もう一つは再評価の実施です。承認後4年ごとの再審査は、1997年の規制緩和でなくなりました。ペプチド茶の成分「かつお節ペプチド」は、欧州食品安全機関から「自然の血圧をサポート」と表示する許可を求めた申請を2010年に却下されています。ヒトでの有効性に十分な根拠がないと評価されたためです。承認から十数年たった製品は、現在の科学水準で効能を見直す必要があります。
審査のあるトクホでさえ不正が見つかる状況で、届け出だけで販売できる「機能性表示食品」の製品には不安がつのります。再発防止には、不正をおこなった企業に、きびしい課徴金を科して責任を問うことが必要です。