サプリメントに頼らない生活

No.21:機能を表示しなくても売れる水素水

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

最近、「水素水」が話題になり、300mlで200円を超える値段の水が売れています。大手メーカーが販売の前面に出ていることが特徴です。
水素水は、以前「アルカリイオン水」としてブームになった電解水が源流です。水素が、体に悪い活性酸素を除去する「抗酸化作用」をもつという研究をもとに、水素水製造器が10万円を越える価格で売られています。

話題のもととなった2007年の医学論文では水素ガスの吸入でしたが、水素水を飲むようになっています。しかし、まだ基礎研究の段階で、人間に有用な効果があることを実証するレベルではありません。
たとえ水素に健康効果があったとしても、水に溶ける量は1gの水に1マイクログラムと少なく、口から飲んだ水素が全身に行き渡ることを期待するには無理があります。

国民生活センターが、「『ガンが治る』等と勧められて商品を購入したものの、本当に効果があるだろうか」という消費者からの相談が続くことから、水素水製造装置を調べ、3月に「飲用による効果を表したものではありません」と発表しました。

水を十分とることで、脱水症状を防ぐ効果は期待できますが、そのために高価な水を購入するのはムダです。
メーカーの宣伝には、体験談だけで水素の効能は書かれていません。それでも売れるのは、サプリメントと同じ健康イメージづくりに消費者が乗せられているのではないでしょうか。
企業には、きちんした臨床試験を実施して販売する、社会的責任があると思います。

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