サプリメントに頼らない生活

No.18:花粉症への期待が先行する「健康食品」

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

花粉症の方にとって、くしゃみ 、鼻みず、鼻づまりでつらい季節です。花粉症の患者は増え続け、2008年の調査では3割に達しています。薬が効かずサプリメントに期待が高まっています。

厚生労働省の研究班報告では、アレルギー性鼻炎で受診している方の2割が民間療法を併用しています。「健康食品」として、甜茶と乳酸菌を利用する方が多いのですが、患者さんの評価ではそれぞれ14%と30%以下の効果しかありません。これは、信じて飲むことで効果が出る偽薬の効果と差がないレベルです。

商品の多くは、体験談を元に宣伝販売され、有効性を論文で示している製品は限られます。甜茶の研究論文を国立健康・栄養研究所の「健康食品」の素材情報データベースをみても、信頼度の低い研究だけです。
有効成分が特定され、臨床試験をしているものに「乳酸菌」と、機能性表示食品の「べにふうき茶」があります。比較対照と比べて統計的差は認められますが、数十人規模の試験なので、どれだけの利用者に効果があるのか、市販後の評価を待つ段階です。医薬品ほど即効性はなく、花粉が飛び始める1カ月前から飲むと効果が高くなると勧めています。
これらの茶や乳酸菌は、気になる副作用もないのですが、危険な「健康食品」も出回っています。2007年2月、スギ花粉加工食品をのんだ女性が、約30分後に全身に蕁麻疹が出現し、息苦しくなり医療機関を受診したが、意識不明状態に陥った問題がありました。
怪しい商品には手を出さないようにしましょう。

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