サプリメントに頼らない生活

No.15:効く根拠があいまいなプラセンタ

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

「美肌効果」と「アンチエイジング(抗老化)」をうたい文句にして、「プラセンタ」サプリの販売がされています。プラセンタ製品は、ブタやウマの胎盤をタンパク分解酵素で処理し、サプリメントやドリンクとして利用します。

ここ5年ほどは、サプリメントの販売上位に入っていますが、効果を示す科学的データは不十分です。「成長因子」に注目して美容効果を実証する研究はありますが、比較対照となる偽薬を投与した群がなく客観性を欠いています。また、学会発表までで審査のある論文となっていません。

 生理活性を持つ成分が、どれくらい含まれているかを示している製品はありません。これでは、アミノ酸を含む肉エキスを飲んでいるとしか考えられません。
胎児をはぐくむ臓器から生命力をイメージさせ、高価なことから希少性をあおる宣伝が、プラセボ(偽薬)効果を生んでいると考えます。それを補強するのが利用者の感想ですが、翌日から効果を感じるなど、あり得ない言葉も登場します。

安全面では、10日間服用した女性に、全身の紅斑と下腿の浮腫が報告されています。アレルギーの注意が必要です。

入手が容易なウシのプラセンタがないことを、不思議に思わないでしょうか。狂牛病が問題となって以来、加熱しても不活化できない病原体、異常プリオンが蓄積しやすい臓器としてウシの胎盤利用は禁止されています。普段、食べる習慣のない臓器には、未知の危険性が潜んでいる可能性を忘れないでください。胎盤の利用は、避けることが良いと考えます。

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