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サプリメントに頼らない生活
No.08:誇張した効能宣伝にご注意
藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
食べ過ぎ・飲み過ぎで、ダイエットに役立つトクホが気になるのではないでしょうか。トクホの茶系飲料が人気を集めています。その中で年間売上額1位は「伊右衛門 特茶」です。
ケルセチン配糖体が脂肪分解酵素を活性化し、体脂肪を減らすのを助けるとして、トクホの表示許可を受けました。宣伝の中では「体脂肪を減らす」といいきっています。
その効果を申請したときの研究では、軽度肥満の成人172名を2群に分け、3カ月間服用した結果を比較し対照とした緑茶飲料より体脂肪面積が有意に減少したとしています。
しかし、減少したのは291平方cmの腹部脂肪面積に対し1.8%でしかなく、体重(平均70kg)・ウエスト周囲(平均91cm)に変化はありません。さらに、6カ月間飲んだ別の実験で3カ月以降、減少は下げ止まっています。
宣伝に使われている実験結果のグラフでは、「腹部脂肪面積変化量」を示すことで変化を過大に見せています。トクホのコーラと同じような、誇張した広告です。
ケルセチンはビタミン様物質で、タマネギなど多くの植物に含まれています。俗に、「血管によい」「脂肪吸収を抑制する」「関節によい」などといわれていますが、ヒトでの有効性を示す研究は乏しく、体脂肪を減らすという研究はサントリー以外に見当たりません。
試験期間中に摂取した平均エネルギー量は1864kcalで、2011年の国民健康・栄養調査で成人の平均摂取量1846とほぼ同じでした。普通に食べながら、太りすぎをサプリメントで解消するのは難しいようです。これで1カ月5000円を消費するのはもったいないと思います。