サプリメントに頼らない生活

No.07:とりすぎると危険なビタミンA

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

ビタミンAは、夜間の視力の維持と皮膚・粘膜の健康維持を助ける栄養素です。

一方で、胎児に奇形を生じる作用があり、過剰摂取で中枢神経や肝臓に障害を引き起こします。しかも、体内に蓄積しやすいことや、食品から大量摂取しやすいため健康被害に注意が必要です。
妊娠前3カ月から妊娠初期3カ月までに、ビタミンAを1日あたり3000μg以上摂取した場合、奇形児の誕生が5倍になったという研究があります。

2011年国民健康・栄養調査による摂取量は522μg(20歳以上女性平均)。推奨量500μgをこえており、追加でとる必要はありません。また、鶏レバー一切れ20gだけで2800μgと、一日上限量に近い量を食べることになります。

30年ぐらい前、抗酸化ビタミンとしてガン予防が期待されたことがあります。吸収後ビタミンAに転換するβカロテンを投与する大規模実験がおこなわれましたが、喫煙などリスクの高い者で肺がんになる率が上昇し、1996年に投与中止となった研究があります。

ビタミンをまとめて飲める「マルチビタミン」が人気です。最近はミネラルも配合され、お得感が強まっています。以前は薬屋で買うものでしたが、規制緩和があった15年前からコンビニなどで購入できるようになりました。
買うときに成分表示や注意を読んでいるでしょうか。気づかないで飲む必要のないビタミンをとるのはやめましょう。

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