サプリメントに頼らない生活

No.06:安全が気になるイチョウ葉茶

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

イチョウ葉は、「血液循環を良くする」「ボケを予防する」として売られています。高齢化が進み、認知症患者は65歳以上人口の10%(242万人程度)に達しているため、人気商品となっています。

イチョウ葉エキスは、ドイツで1960年代に開発され、記憶障害、耳鳴り、めまいの改善に対して使用を承認されました。しかし、日本で売られている健康食品は、効果を実証するデータがありません。

品質の問題も出てきています。イチョウ葉にはアレルギーを引き起こす物質が含まれています。銀杏の実を包む果肉で、かぶれを起こす成分です。湿疹を起こすだけでなく、重い場合は呼吸困難を起こします。

2002年11月、国民生活センターは、ドイツの規制値の8万倍もの量が含まれている商品や、薬効を示す成分がほとんど含まれていないものも流通していると、警鐘を鳴らしました。

有害物質が溶け出しやすいティーバッグは特に危険です。しかし、警告は忘れ去られ、健康茶として今でも販売が続けられています。

イチョウ葉エキスをたくさん摂取すると肝臓の薬物代謝酵素が誘導され、医薬品の効果を弱める可能性があります。一方で、血液を固まりにくくする薬の作用を増強し、出血傾向がでます。服用するときは、主治医・薬剤師にお伝えください。

将来、有用な薬になる可能性もありますが、予防で使うには効果が弱く、一カ月あたり数千円の費用を使うことはもったいないと考えます。

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