サプリメントに頼らない生活

No.03:ウコンは肝臓を守らない

藤竿 伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

週刊朝日3月7日号で「ウコン神話に注意」という記事が載りました。肝臓に良いと評判のウコンによって、肝障害を起こし死亡したことを紹介しています。

30代の男性が二日酔い防止にウコンを多量摂取し、肝機能が低下、劇症化して死亡。38歳の男性が飲酒による肝機能低下を防ぐ目的でウコンとシジミエキスを毎日摂取した結果、2カ月後に劇症肝炎を発症して入院。

しかし、この危険性は10年前から警告されています。厚生労働省研究班が2004年に発表した全国調査で、健康食品が原因として疑われる肝障害患者95人のうち、ウコンを含む食品が36人と最多でした。

また2004年10月、東京逓信病院は、肝硬変の女性患者が粉末のウコンを毎日スプーン1杯のみ始めたところ約2週間後に症状が悪化して入院、約3カ月後に死亡した症例を報告しています。

ウコンが肝臓を傷つけるメカニズムとして、ひとつは、ウコンの作用そのものが刺激によって肝臓機能を高めることに由来します。健常人では問題なくても、肝硬変が進んでいる慢性肝障害の患者さんには作用がきつすぎるのです。

また、ウコンに多く含まれる鉄の毒性も問題となります。慢性肝炎では、肝臓に貯溜する鉄が幹細胞の破壊を促進します。過剰な鉄は肝臓にとって猛毒です。

そのため、食事から鉄の摂取を1日6mg以下とする低鉄療法がおこなわれます。ウコン粉末1日分は、2mgの鉄を含んでいます。通常7.5mg摂取している鉄を2割削らないといけないことを考えると、ウコンでとる鉄の量は無視できないものです。

ウコンは肝臓保護作用を持つハーブではありません。肝臓に障害がある人がウコンを飲むこと、お見舞いとしてウコンを贈ることは避けましょう。

ウコン製品の、危険性情報を伝えない宣伝があふれています。被害にあわないよう、気をつけましょう。

サプリメントに頼らない生活 TOPへ戻る≫

TOPへ