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サプリメントに頼らない生活
No.02:宣伝が拡大する特保の効能
藤竿 伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)
2012年4月にトクホのコーラが発売されてから、中性脂肪の吸収を抑える飲料の宣伝が盛んです。消費者団体の申し入れによって、インターネットやテレビでの広告はおとなしくなっています。しかし、血中中性脂肪の低下率を見せ、高カロリーの食品と一緒に利用するイメージ画像出すなど、効果を強調することは変わっていません。
成分のデキストリンは、デンプンを加工して、小腸では分解されない難消化性の食物繊維です。「おなかの調子を整える」「血糖値が気になり始めた方の食品」として、トクホの3割に利用されています。そこに、中性脂肪に関する作用が追加されました。
群馬大学の高橋久仁子氏が販売企業2社に「脂肪の吸収を抑えて排出を増加させ」の根拠を質問したところ、同一の研究論文を両社から示されました。
それによれば、「食事中の脂質量は55g。糞便中の脂質量は、難消化性デキストリン15g摂取群では1.44g、非摂取群では0.77g。この差は有意」でした。製品3本分を摂取して、糞便中の脂質増加量は、わずか0.67g。「統計的に有意な差とはいえ、これを根拠に脂肪の吸収を抑えると宣伝するのは、消費者に過大な効果を期待させるもの」です。
宣伝にある「効果実証結果」のグラフでは、血中中性脂肪の変化量」を示していますが、実験参加者の空腹時中性脂肪値は正常域の上限150㎎/dlを少し超えていたのに、「足きり」グラフで変化率を倍以上に見せています。
試験時の食事内容は「ハンバーグ、フライドポテト、バターロール」で総脂質量は41.2g。2011年の国民健康・栄養調査によると、日本人の脂質摂取量平均値54gの4分の3に達するものです。
脂質量の管理は大変ですが、わずか90名の試験をもとに、高脂肪食を食べ続けても大丈夫ととれる宣伝を続けるのは問題です。