DIより

No.01:市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)とは

外苑企画商事 谷本昌義

市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)とは

薬局やドラッグストアで購入できる薬を大量・頻回に服用することです。乱用されているのは一般的なせき止めやかぜ薬などで、これらには麻薬や覚醒剤と同じような成分がごく少量含まれています。そのため、一度に多く服用すると一時的に気分が落ち着いたり高揚したりします。しかし、服用を繰り返すうちにそれまでの量では効かなくなり、オーバードーズするようになっていきます。

オーバードーズの危険性

過剰摂取を続けると、副作用により身体に悪影響を及ぼしたり、やめたくても、やめられなくなったりするおそれがあります。このような状態で、急に薬の服用を中止・減量すると「吐き気・嘔吐・手の震え・幻覚・イライラする・落ち着かない」などの、離脱症状が現れることがあり、これらの症状を和らげるために、また薬を服用してしまうという、悪循環に陥ることもあります。また正しい用法・用量で服用しないと、肝障害が起こったり意識障害を起こしたり最悪の場合死に至ったりすることもあります。

オーバードーズの背景

10代・20代の若い世代を中心にオーバードーズが増加しています。従来の違法薬物と比較して、女性が多く、非行歴が少ないなどの特徴があるとされています。背景には、家庭や学校、職場等で感じている「つらい気持ち」があり、それを和らげるために市販薬に頼ってしまうと考えられます。オーバードーズの裏にはいじめや虐待、親との関係が悪い、学校、職場での孤立など、深刻な問題が潜んでいる場合もあります。

オーバードーズにどう向き合うか

周囲の人が本人に対してオーバードーズをしたこと自体を叱ったり、責めたりすることは、根本的な解決にはなりません。「ダメ。ゼッタイ。」だけでは「ダメ。」なのです。原因となっている悩みや問題に、周囲の人も一緒に向き合うことが解決の第一歩です。また、自分たちだけで解決しようとしてうまくいかず、こじれてしまうこともあります。医療機関、精神保健福祉センター、保健所等に相談し、専門家のアドバイスを得ることも大事です。

注意するべき薬物は

令和5年2月の厚生労働省通知により、「濫用等のおそれのある医薬品」の指定範囲が変更されました。コデイン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリンについては以前は鎮咳去痰薬に限る指定範囲でしたが、令和5年4月より、鎮咳去痰薬に限らず含有する物はすべて指定範囲となっています。指定範囲は次のとおりです。
以下に掲げるもの、その水和物及びそれらの塩類を有効成分として含有する製剤
エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、ブロモバレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン

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