クスリの あ・れ・こ・れ ~東葛病院~

No.39:便と一緒に薬が出てきた! ~ゴーストピルについて

東葛病院薬剤部 比田井 かおり

ゴーストピルとは、「薬が溶け出した後の抜け殻」のことを言います。

抜け殻が便と一緒に出てきてしまう原因として、お薬の構造上の特徴があります。

錠剤では徐放化製剤(1回の服用で長時間効果が続くもの)でみられることが多いです。

例えは、バロプロ酸ナトリウムの徐放化製剤では、錠剤の内部が「かご」のような格子状の構造になっていて、そこから少しずつ薬が出てくるように設計されています。他にも徐放化するために特殊な構造を持っているもの、薬の表面のコーティングが溶けにくい成分でできているものなどで起きやすいと言われています。

通常、これらの構造や成分はお薬が吸収されると溶けるようになっているのですが、下痢などで腸管通過時間が短い場合や水なしで服用した場合などに、ゴーストピルとして出てくることがあります。

薬の形でそのまま出てくるため、薬が効いていないのではと心配になるかと思いますが、重症の下痢などの胃腸障害がない限り、薬の成分はほぼ吸収されていることが分かっています。

同じ成分の薬でも、メーカーによってゴーストピルが出るものと出ないものがあるようです。薬がそのまま出てきたからと言って不老品というわけではないのでご安心ください。

また、薬が出てきたからと、自己判断で薬をもう1度服用したり、錠剤を砕いて服用するのは薬が効きすぎてしまう可能性があり危ないので避けてください。

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