薬局症例検討会

2013年4月20日(土)
外苑企画商事 谷本昌義

去る4月20日土曜、午後3時から6時半までハロー貸会議室秋葉原ホールにて18回目となる勤医会、外苑企画商事合同薬局症例検討会を行いました。薬剤師78名、事務8名とほとんどの職員が参加し、薬学生2名と他法人からも参加していただきました。

今回は8つの演題発表と3つの文書報告が行われ、その後グループに分かれてディスカッションを行っています。症例検討会は普段働く環境の違う病院薬局と調剤薬局の薬剤師がそれぞれの立場で話し合える貴重な場であり、1年間の取り組みを発表し、今後のつなげるヒントをもらう場となっています。
薬局の症例検討会というと薬の使い方や効果に関する症例報告と思われるかもしれませんが、実際には活動報告も含まれておりさまざまな取り組みを報告しています。いくつかの印象に残った報告を紹介いたします。

東京と熊本の水俣病検診に問診者として参加した薬剤師の報告は水俣病と認定されていない人がまだまだいることと今も苦しんでいる人の実態と思いを伝えてくれました。水俣病検診で薬剤師ができることは少ないのですが、国や企業の姿勢によって拡大したという同じような構造は薬害でも起こっているとの報告は薬を扱うものとして患者の立場に立つことの重要性を考えされられました。

薬剤師の専門性を活かした処方提案の取り組みではたくみ外苑薬局の在宅部門と東葛病院の病棟薬剤師から報告がされ、一定の成果を上げていることや課題が明らかになりました。ディスカッションでは今後進めていくうえで患者の状態を今まで以上に把握して判断できる力が必要なこと、チームとの情報共有が重要であるとの意見が出されています。

薬の使用実態を調査した報告ではしいの木薬局の向精神薬と認知症薬の使用実態調査が行われています。わかば薬局の残薬に合わせた日数調整の取り組みと合わせて、患者の実態を知ることで問題点が明らかになり、提案につながっています。薬局で患者との関わりを強めようとすると敬遠されがちですが、私たちは専門家としてさらに取り組んでいきたいと思います。

病院と調剤薬局の連携ではみさと協立病院の退院時薬剤サマリーの発行やわかば薬局の適正使用連絡カード発行でお互いへの情報提供の重要性が示されています。ディスカッションではまだまだ連携できることがあることが話されており、それをどう実行するかが今後の課題です。

わかば薬局の事務からはHIV治療の公費制度に関しての報告がありました。HIV患者は非常に高額な治療を続けていかなくてはならないため公費制度の利用が不可欠であるが、制度が複雑であるうえ公費取得までの請求保留や上限管理の不備による再請求などが薬局の負担として発生する。しかし、患者にとって必要な治療なので自治体や病院相談室、医事課と連携を強めながら薬局事務として患者とかかわっていきたいとの内容には心強いものを感じました。

薬剤師が薬の専門家として活動することは当然の事であり、医療チームの中で活躍する取り組みを進めていくとともに、患者の生活面も含めた支援をおこなう活動も事務と一緒に進めていきたいと思います。

病院、調剤薬局とも薬剤師として医療に係わる取り組みはまだまだ十分ではないと思っています。
来年は入職2年目職員の発表も予定されておりどんな取り組みが行われるか楽しみにしています。

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