イレッサは2002年7月に輸入承認されてから8年を経過し、再審査を受けています。イレッサは、発売直後から間質性肺炎による多数の副作用被害を起こし、2010年3月末までに810名の方が命を落としました。
承認審査とその後の行政対応が問われています。2010年11月10日、4団体がイレッサの再審査に対する意見書を厚生労働省へ提出しました。
意見書の中に出て来る専門用語は、下記の用語集をご覧になってください。
薬害イレッサ 用語集 第3版 (2009/06/10)
薬害イレッサ 用語集 第3版 (印刷用 pdf形式) (2009/06/10)
新医薬品は、製造販売承認後に使用成績の調査が義務づけられ、一定期間後に有効性、安全性等の審査をうけます。これを再審査とよびます。また、再審査が終了した医薬品は、医学・薬学等の進歩に対応して有効性、安全性、品質等を見直すための審査を原則5年ごとにおこないます。これを再評価とよびます。
再審査制度は、スモンの教訓で改定された薬事法に盛り込まれ、1980年4月に施行されました。薬事法第14条の4に規定されています。
承認時に審査される臨床試験は、症例数が少なく、使用期間が限られ、併用薬・合併症・患者年齢なども限定されたものです。このため、市販後に使用された場合の有効性・安全性は、あらためて検証する必要があります。
再審査は、「医薬品医療機器総合機構」においてGPSP等適合性の調査と品質・有効性・安全性に関する調査がおこなわれた後、薬事・食品衛生審議会・薬事分科会での審議と答申を経て、審査結果が決まります。
再審査の結果は、薬事法第14条第2項第3号の3つの承認拒否事由(@申請された効能・効果があると認められない時、A効能・効果に比して著しく有害な作用を有することにより、使用価値がないと認められる時、B性状又は品質が保健衛生上著しく不適当な時)に照らして、次の3区分で示され、必要な措置がとられます。
(1) 承認不可(製造・販売中止、承認取消)、(2) 承認事項変更(指示に従い承認事項の変更)、(3) 承認(再審査申請とおり)
新有効成分含有医薬品の再審査期間は原則6年でしたが、2007年4月1日より8年間へ延長されました。これにより、医薬品のデータ保護期間も8年に延長され、政府の「知的財産推進計画2006」応えたものになりました。
新医薬品再審査概要は、医薬品の適正使用の推進を図るため、薬事・食品衛生審議会の評価を踏まえ、再審査の申請資料の基となった使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等の製造販売後調査等の成績や副作用報告等の製造販売後安全管理情報の概要を取りまとめたものを公開することになっています。しかし、情報公開は遅れています。