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薬害イレッサ訴訟 東京地裁判決の意義

2011年3月24日

薬害イレッサ訴訟統一原告・弁護団

1 東京地裁判決

(1) 求められる指示・警告の内容

  ○ 間質性肺炎は「警告」欄に記載するのが相当だった
    仮に「警告」欄に記載しないなら、

  ○ 他の副作用よりも前に記載し、かつ、致死的であることを記載すべき

(2) アストラゼネカの責任

 指示・警告上の欠陥があったとして、製造物責任法上の責任を認める。

(3) 国の責任

 安全性確保のために必要な記載をするよう行政指導する権限を行使しなかったことは違法であるとして、国家賠償法上の責任を認める。

2 大阪地裁判決との異同

(1) 共通点

@ イレッサにより致死的な間質性肺炎が発症する可能性があるとの承認当時の国の認識を前提に、国が定めた添付文書記載要領で「警告」欄に記載すべき場合に該当することを理由として、間質性肺炎を「警告」欄に記載すべきとした

A アストラゼネカに製造物責任法上の責任を認めた

B 国には添付文書の記載について行政指導する権限があるとした

(2) 違い

〈大阪判決〉

 薬事法の形式的解釈論に拘泥し、指導権限の内容について明確な定めがないことを理由に国に広い裁量を認め、重大な副作用欄の末尾に記載するよう指導するにとどめたことも裁量の範囲内とした。

〈東京判決〉

 現に添付文書に関する行政指導がなされている実態に即して、健康被害防止のために期待される指導権限(責務)の内容を実質的に判断し、安全性確保のために必要な記載が欠けているのに行政指導を怠ることは許されないとした。

3 両地裁判決によって示された課題

@ 薬事法上の添付文書の位置づけの曖昧さが判断の分かれる原因になった。

A 国和解拒否時のプレスリリース
 「判決で問題点を指摘していただき,これを整理検討して,丁寧に制度のあり方を模索したい」 →添付文書に記載すべき内容の判断は共通、問題点はより明確に

東京地裁判決の趣旨にそった薬事法改正の必要性

薬害イレッサの早期全面解決の必要性


薬害イレッサ東京判決に対する原告・弁護団声明 | 薬害イレッサ弁護団

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