2011年3月23日
薬害イレッサ訴訟統一原告・弁護団
薬害イレッサ訴訟東京判決を受けて、原告団・弁護団は以下の声明を発表しました。
はじめに、東北関東大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。この度の震災により、信じ難いほど多くの方々の尊い命が失われ、今もなお多くの方々の命が危機にさらされていることに言葉もありません。
本日、東京地方裁判所において、薬害イレッサ訴訟の判決が言い渡され、国とアストラゼネカ社の法的責任が明確に認められました。
判決は、承認前に得られていた副作用情報等に照らせばイレッサの添付文書には間質性肺炎を警告欄に記載すべきであったとして、大阪地裁判決に続いて、承認当初の添付文書による情報提供が不十分であったことを指摘しました。
その上で、添付文書への十分な記載を怠ったアストラゼネカ社に対し、製造物責任法に基づく責任を認めたのみならず、医薬品による国民の健康侵害を防止するためには、添付文書に対する行政指導を怠ることは許されないとして、イレッサの添付文書について十分な行政指導を怠った国に対しても、国家賠償法に基づく責任を認めました。
大阪地裁判決は、国の行政指導が不十分であったことを指摘しつつもその法的責任は否定しましたが、本日の東京地裁判決によって、国の不十分な行政指導のために、指示・警告上の欠陥がある医薬品による被害を生じさせたことが、より明確となりました。
国は、本年1月28日付「イレッサ訴訟和解勧告に関する考え方」において「ご家族の皆様の悲しみ、苦しみに思いを致し、政府として為すべき事に全力を傾注することをお約束します」と述べ「判決で問題点を指摘していただき、これを整理・検討して、丁寧に制度のあり方を模索したい」としています。大阪・東京両地裁判決によって薬害イレッサ事件の問題点及び課題は既に明らかです。
国及びアストラゼネカ社は、高等裁判所の審理を待つことなく、協議により薬害イレッサ事件を早期全面解決するべきです。
私たちが求める全面解決は、原告全員の救済、未提訴者の救済ルール設定、薬害イレッサ事件の教訓を薬害防止やがん医療に生かすこと、及び抗がん剤副作用死救済制度を創設すること等です。
引き続き薬害イレッサ事件の早期全面解決を求めていく所存ですので、ご支援をお願いする次第です。
◆ 薬害イレッサ東京判決に対する原告・弁護団声明 | 薬害イレッサ弁護団