「東葛の健康」連載コラム 2002年2月〜6月
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No. | 月 | 表題 | 執筆者 |
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43 | 6月 | お薬とうまくつきあいたいのに、でも… | 藤井 恵利 |
42 | 5月 | 薬の悪い作用(副作用) | 藤井 恵利 |
41 | 4月 | C型肝炎感染問題 | 福田 多摩美 |
40 | 2月 | 腎不全のくすり | 山崎 聡美 |
クスリあれこれ No.43 2002年6月
藤井 恵利
先月の続きで、薬の副作用について説明します。今月は、最も重要な副作用と言われる「過敏症」について説明します。
ペニシリンショックという言葉を聞いたことがありますか」ペニシリンアレルギーのある人にべニシリンを投与すると、わずか数分で「全身発疹、そう痒感、咽頭浮腫(喉が大きく腫れて、呼吸が苦しくなります)、血圧低下、その後に呼吸停止、心臓停止」を起こす非常に危険な副作用です。
アナフィラキシーショックとも呼ばれています。過敏症が最悪になった場合は、このような「ショック」という状態になります。(現在、病院でペニシリンなどを投与するときは、事前にアレルギーテストを行うので安心です。)
注射剤以外でショックを起こすことはまれですが、過敏症によって起こる副作用はたびたび見られます。
多くは、熱、発疹、痒みといった形で現れます。また、外敵から身を守る白血球や、血液を固まらせる血小板が下がることもあります(風邪症状や、内出血によって紫あざ、赤あざが現れます)。
これらの症状が現れたら、すぐかかりつけの病院や薬局に相談して下さい。自分の判断で中止することはさけて下さい。予期せぬことが起こることがある薬もあるし、病気の悪化も心配です。多くは体に合わないから拒否反応を起こしている状態です。これを逆手に取って考えると、副作用の多くは六カ月以内に出るので、六カ月を過ぎればアレルギーは問題ないということになります。
先月からの三つの副作用の話しを聞くと「こわくて、のめないわ…」という人もいるかもしれません。しかし、体に合って適量ならば、薬は予防や治療に不可欠なものです。薬によって、普段どおりの生活が可能になる人もたくさんいます。三つの副作用を思いだし、どんな薬が自分にいいか、よく医師と相談し納得して薬を服用してください。
クスリあれこれ No.42 2002年5月
藤井 恵利
薬と長く付き合っている人、初めてもらう薬を飲む人、薬局で薬を買う人。誰もが効果的な薬を、何の害もなく飲み続けたいものです。
しかし薬にはいい作用(主作用)ばかりでなく、悪い作用(副作用)も見られます。
今回は、その副作用について、分かっていることをお話しします。
この副作用は大きく三つに分けると、(1)作用の過剰発現(2)毒性(3) 過敏症となります。
例えば血圧を下げる薬で、下がりすぎてしまった。これはいい効果を通り越して、悪い効果(ふらつきやだるさ等)につながる可能性があります。量を減らすか、別のものに変更するか等、医師と相談して解決します。
こわい言葉ですね。
これは、量や、服薬期間が関係してきます。薬は体に効いた後、肝臓で壊され、腎臓を通過して出ていきます。肝臓、腎臓に負担がかかっている人や、年齢により機能が落ちている人、もしくは多い量で長く服用している人が要注意です。だんだん体に貯まって、通常量でも体にとって多すぎる量になる可能性があるからです。薬も多すぎれば毒(体に負担)になります。血液検査や、体からのサインを知っておくことでチェックしましょう。肝臓のサインはだるい、食欲がないなどが初期に出て、進むと、褐色尿、皮膚や目が黄色になる等があります。腎臓のサインは尿量の変化、顔や足のむくみなどがあります。
次号ではもう一つのもっとも重要とも言われる過敏症について説明します。
クスリあれこれ No.41 2002年4月
福田 多摩美
このところ薬害エイズ、薬害ヤコブなど様々な薬害がとりざたされています。そしてその度に厚生労働省は、「その当時は知らなかった」「防ぎようがなかった」などと言い訳をし、責任逃れをしています。
そしてまたかというように最近新聞等で、 C型肝炎感染問題が話題になっています。C型肝炎は主に血液から感染します。現在国内で、キャリア(発症していないがわずかのウイルスをもつ)も含めて、約200万人の感染者がいるといわれています。薬害エイズと同じように非加熱の輸入血液製剤からの感染が問題となっているのです。
非加熱製剤は血友病に使われる薬剤の他にも様々な製剤があります。いかにも血液製剤という赤い色の製剤もあれば、血液とは思えないような透明なものもあります。
今回話題になっている「フィブリノゲン」についても、出血を止める薬剤として出産時の出血など約40万人に使用されたといわれています。この「フィブリノゲン」もアメリカでは1997年に肝炎感染の危険が指摘され製造を中止しているにもかかわらず、日本では国内で感染が問題となる1987年まで何の対策も取られませんでした。この間10年で約28万人へ投与されたといわれています。
アメリカで製造中止までしている薬剤の情報を、日本の医療の安全を守る厚生省(当時)が「知らなかった」なんてことがあっていいのでしょうか。現在1988年までに非加熱製剤を投与された人に対し、肝炎ウイルス検査を受けるよう呼びかけがされています。しかしその検査も対象人数が多いことを理由に公費負担ではなく自己負担となっています(後から期間を区切って公費で受けられるようになりましたが)。被害者に対して充分な救済措置はなんらとられていません。
さまざまな新薬が出てきている昨今です。厚生労働省に十分な承認審査やその後の情報収集を求めるのは当然として、私たち使う側も常にその薬が安全なのか考えていきたいと思います。
クスリあれこれ No.40 2002年2月
山崎聡美
腎臓は、心臓や肝臓と同様に、体内で重要な役割を果たしています。腎不全になると、体内の調節機構に影響を及ぼします。
腎臓は、電解質(ナトリウム、カルシウム、リン)や水分を調節して老廃物を排泄しています。腎機能が低下すると尿が出にくくなりむくみがおこります。ラシックスやアルダクトンAといった利尿剤は、尿を出しやすくしてむくみを改善する薬です。
腎不全になると、電解質のバランスが崩れてきます。血中のリンが増えると、血液が酸性に傾き細胞破壊が起こります。一方でカルシウムは減り、それを補うために骨から血中にカルシウムが奪われ、骨がもろくなります。カルタンや沈降炭酸カルシウムは、リンの腸管吸収を抑えてカルシウムを補給します。また血中カリウム値が高い場合には、カリウムを吸着するカリメートやアーガメイトゼリーを服用します。
腎不全が進行すると、血圧を上げるレニンが腎臓から過剰に分泌されるため、血圧が上昇します。血圧降下剤は、一種類ではコントロールが難しく、違う薬を組み合わせることで効果が高まります。ニフエラート、ノルバスク、アルドメット、レニベーゼなどがあります。
腎機能の低下に伴い、血中尿酸値が上昇すると、尿酸が蓄積して痛風がおこります。アロリンは尿酸を作りにくくする薬です。また、炭酸水素ナトリウム(重曹)を服用する場合もあります。これは尿をアルカリ化することで、腎臓から尿酸を排泄させるようにする薬です。
以上のように、腎不全では症状に応じて薬が処方され、量や種類が増えたりして困惑されることもあるかと思います。どれも意味のある薬です。わからないことがありましたら、医師や薬剤師に相談してください。