薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律案要綱 第一 薬事法の一部改正(第一条及び第二条による改正関係) 一 定義 1 「医療用具」の名称を「医療機器」に改めること。(第二条第四項関係) 2 この法律で「高度管理医療機器」とは、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医療機器をいうものとすること。(第二条第五項関係) 3 この法律で「管理医療機器」とは、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医療機器をいうものとすること。(第二条第六項関係) 4 この法律で「一般医療機器」とは、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医療機器をいうものとすること。(第二条第七項関係) 5 この法律で「特定保守管理医療機器」とは、その管理に専門的知識及び技能を必要とすることからその適正な管理が行われなければ疾病の診断等に重大な影響を与えるおそれがあるものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医療機器をいうものとすること。(第二条第八項関係) 6 この法律で「生物由来製品」とは、人等に由来するものを原材料として製造される医薬品等のうち、保健衛生上特別の注意を要するものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいうものとすること。(第二条第九項関係) 7 この法律で「特定生物由来製品」とは、販売し、賃貸し、又は授与した後において保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置を講ずることが必要な生物由来製品であって、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいうものとすること。(第二条第十項関係) 8 この法律で「製造販売」とは、その製造等(他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を含まない。)をし、又は輸入をした医薬品等を、それぞれ販売等することをいうものとすること。(第二条第十二項関係) 9 この法律で「体外診断用医薬品」とは、専ら疾病の診断に使用されることが目的とされ、人等の身体に直接使用されることのない医薬品をいうものとすること。(第二条第十三項関係) 二 医薬品等の製造販売業及び製造業等 1 製造販売業の許可  医薬品等の種類に応じた区分ごとに、それぞれ厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、業として、当該医薬品等の製造販売をしてはならないこととするとともに、当該許可の更新及び基準、総括(第十二条、第十二条の二、第十七条第一項製造販売責任者の設置に関し必要な事項を定めること。及び第二項、第十八条第一項及び第三項並びに第十九条第一項関係) 2 製造業の許可  医薬品等の品目ごとの製造業の許可について、製造販売の承認の前に厚生労働省令で定める区分ごとに与えることとするとともに、当該許可の基準等に関し所要の改正を行うこと。(第十三条関係) 3 外国製造業者の認定  外国において本邦に輸出される医薬品等を製造しようとする者は、厚生労働省令で定める区分に従 い、製造所ごとに厚生労働大臣の認定を受けることができることとするとともに、当該認定の基準等 に関し必要な事項を定めること。(第十三条の二関係) 4 医薬品等の製造販売の承認  現行の医薬品等の製造の承認を製造販売の承認に改め、当該承認の基準、当該承認に係る審査の方法、当該承認を受けた者の義務等に関し所要の改正を行うこと。(第十四条関係) 5 特例承認  現行の特例許可を特例承認とし、当該承認の対象に医療機器等を加えることとすること。(第十四条の四及び第二十条関係) 6 製造販売の届出  医薬品等の製造販売業者は、二の4の承認又は三の1の認証の対象とならない医薬品等の製造販売をしようとするときは、あらかじめ、品目ごとに、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならないこととすること。(第十四条の十関係) 7 原薬等登録原簿  原薬等を製造する者は、その原薬等の製法等について、原薬等登録原簿への登録を受けることができることとするとともに、当該登録の申請、抹消等に関し必要な事項を定めること。(第十四条の十一から第十六条まで関係) 8 外国製造医薬品等の製造販売の承認  現行の外国製造医薬品等の製造の承認を、外国製造医薬品等の製造販売の承認とし、当該承認の基準、当該承認に係る審査の方法、当該承認を受けた者の義務等に関し所要の改正を行うこと。(第十九条の二から第十九条の四まで関係) 9 薬局における製造販売の特例  薬局開設者が当該薬局における設備等をもって医薬品を製造し、それを当該薬局において販売する場合について、政令で、必要な特例を定めることができるものとすること。(第二十二条関係) 10 その他  その他医薬品等の製造販売業及び製造業等に関し必要な事項を定めること。 三 認定認証機関 1 厚生労働大臣が基準を定めて指定する管理医療機器又は体外診断用医薬品の製造販売をしようとする者等は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の認定する者(以下「認定認証機関」という。)の認証を受けなければならないこととするとともに、当該認証の基準、当該認証に係る審査の方法等に関し必要な事項を定めること。(第二十三条の十六及び第二十三条の十七関係) 2 報告書の提出その他認定を受けた者の義務、認証機関の認定及びその取消、認定認証機関の認証業務、厚生労働大臣の認定認証機関に対する監督等に関し必要な事項を定めること。(第二十三条の十八から第二十三条の三十三まで関係) 四 医療機器の販売業、賃貸業及び修理業 1 医療機器の販売業及び賃貸業  高度管理医療機器又は特定保守管理医療機器(以下「高度管理医療機器等」という。)の販売業又は賃貸業の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、高度管理医療機器等を販売、賃貸等してはならないこととするとともに、許可の更新及び基準、管理者の設置等に関し必要な事項を定めること。(第三十九条から第四十条まで関係) 2 医療機器の修理業  医療機器の修理業を法律上位置付け、許可の更新及び基準、管理者の設置等に関し必要な事項を定めること。(第四十条の二及び第四十条の三関係) 五 医療機器の性状等に係る基準  厚生労働大臣は、医療機器の性状等の適正を図るため、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、必要な基準を設けることができるものとすること。(第四十一条第三項関係) 六 医薬品等の取扱い 1 処方せん医薬品  現行の要指示医薬品の名称を処方せん医薬品に改め、医師等から処方せんの交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、販売すること等ができないこととすること。(第四十九条関係) 2 医薬品等の販売、授与等の禁止  販売、授与等してはならない医薬品等として、二の3の認定を受けていない外国の製造所において製造された医薬品等を追加すること。(第五十五条、第六十条、第六十二条及び第六十四条関係) 3 医療機器の直接の容器等の記載事項等  医療機器の名称等を直接の容器等の記載事項等として追加するとともに、特定保守管理医療機器については、その医療機器に、製造販売業者の氏名その他の事項が記載されていなければならないこととすること。(第六十三条及び第六十三条の二関係) 4 医療機器の販売、製造等の禁止  販売、製造等してはならない医療機器として、五の基準等に適合しないものを追加すること。(第六十五条関係) 5 その他  その他医薬品等の取扱いに関し所要の改正を行うこと。 七 生物由来製品の特例 1 生物由来製品の製造管理者  生物由来製品の製造管理者は、製造所ごとに厚生労働大臣の承認を受けて、細菌学的知識を有する者等を置かなければならないこととすること。(第六十八条の二関係) 2 生物由来製品の直接の容器等の記載事項等  生物由来製品に関する規制を設けることとすること。(第六十八条の三か表示、基準等について、ら第六十八条の五まで関係) 3 特定医療関係者による特定生物由来製品に係る説明  特定生物由来製品を取り扱う医療関係者(以下「特定医療関係者」という。)は特定生物由来製品の使用の対象者に対し適切な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならないこととすること。(第六十八条の七関係) 4 感染症定期報告  生物由来製品の製造販売業者等は、その製造販売をした生物由来製品等による感染症に関する最新の論文その他により得られた知見に基づき当該生物由来製品を評価し、その成果を厚生労働大臣に定期的に報告しなければならないこととすること。(第六十八条の八関係) 5 生物由来製品に関する記録及び保存  製造販売業者、特定医療関係者等は、その担当した特定生物由来製品に関し厚生労働省令で定める事項を記録するものとすること等、生物由来製品に係る記録等の事務について必要な事項を定めること。(第六十八条の九及び第六十八条の十関係) 6 その他  その他生物由来製品の特例に関し必要な事項を定めること。 八 監督  製造販売業の許可等に係る監督その他厚生労働大臣による監督に関し所要の改正を行うとともに、必要な事項を定めること。(第六十九条から第七十六条の二まで関係) 九 雑則 1 危害の防止  医薬品等の製造販売業者等は、その製造販売をした医薬品等の使用によって保健衛生上の危害が発生し、又は拡大するおそれがあることを知ったときは、これを防止するために必要な措置を講じなければならないこととするとともに、医薬関係者等は、当該措置の実施に協力するよう努めなければならないこととすること。(第七十七条の四関係) 2 医薬関係者等からの副作用等の報告  医薬関係者等は、医薬品又は医療機器の副作用等を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならないこととすること。(第七十七条の四の二第二項関係) 3 輸出用の医薬品等  輸出用の医薬品等の製造業者は、その製造する医薬品等が政令で定めるものであるときは、その製造所における製造管理又は品質管理の方法が二の4 基準に適合しているかどうかについて、製造をのしようとするとき等に、厚生労働大臣の書面による調査又は実地の調査を受けなければならないこととすること。(第八十条第一項関係) 4 化粧品の特例  二の4の承認を要しない化粧品について政令で必要な特例を定めることができることとすること。(八十条第四項関係) 5 治験の取扱い  治験の実施者として、自ら実施する者を加えるとともに、機械器具等の治験について、薬物の治験と同様の取扱いとすること。また、治験の計画について、治験の対象とされる薬物又は機械器具等を使用することが緊急やむを得ない場合には、当該治験を開始した日から三十日以内に厚生労働大臣に届け出ればよいこととすること。(第八十条の二関係) 十 罰則  法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務に関して、二の4の承認を受けることなく製造販売をした場合等について、行為者を罰するほか、法人に対して一億円以下の罰金刑を科することとすることその他必要な事項を定めるとともに、所要の改正を行うこと。(第八十四条から第八十九条まで関係) 十一 その他  その他所要の規定の整備を行うこと。 第二 採血及び供血あつせん業取締法の一部改正(第三条による改正関係) 一 題名の改正  この法律の題名を「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」に改めること。 二 目的の改正  この法律の目的を、血液製剤の安全性の向上、安定供給の確保及び適正な使用の推進のために必要な措置を講ずるとともに、人の血液の利用の適正及び被採血者の保護を図るために必要な規制を行うことにより、国民の保健衛生の向上に資することに改めること。(第一条関係) 三 基本理念  基本理念として、血液製剤について、安全性の向上、国内自給の原則及び安定供給、適正使用並びに施策に関する公正の確保及び透明性の向上を規定すること。(第三条関係) 四 関係者の責務  国、都道府県及び市区町村、採血業の許可を受けた者(以下「採血事業者」という。)、血液製剤製造業者等並びに医療関係者の責務をそれぞれ規定すること。(第四条から第八条まで関係) 五 基本方針等 1 厚生労働大臣は、血液製剤の安全性の向上等を図るため基本方針を定めるとともに、少なくとも五年ごとに再検討を加え、必要があると認めるときは変更するものとすること。(第九条第一項から第三項まで及び第五項関係) 2 厚生労働大臣は、基本方針に基づき、毎年度、翌年度の献血推進計画を定めるものとすること。(第十条第一項及び第二項関係) 3 採血事業者は、基本方針及び献血推進計画に基づき、毎年度、都道府県の区域を単位として、翌年度の献血受入計画を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならないこととすること。(第十一条第一項、第二項及び第四項関係) 六 採血 1 採血事業者は、その許可に係る事業の全部又は一部を休廃止しようとするときは、採血所ごとに、厚生労働大臣の許可を受けなければならないこととすること。(第十四条関係) 2 何人も、有料で、人体から採血し、又は人の血液の提供のあっせんをしてはならないこととすること。(第十六条関係) 3 業務規程の作成その他の採血事業者の義務及び厚生労働大臣等の採血事業者に対する監督に関し必要な事項を定めること。(第十七条から第二十一条まで関係) 七 血液製剤の安定供給 1 厚生労働大臣は、基本方針に基づき、毎年度、血液製剤の種類ごとの需給見込み、原料血漿の確保目標量等を内容とする血液製剤の安定供給に関する計画(以下「需給計画」という。)を定めなければならないこととするとともに、需給計画の作成又は変更に関し必要な事項を定めること。(第二十五条第一項から第四項まで及び第六項関係) 2 採血事業者等は、原料血漿の配分及び血液製剤の製造等に当たっては、需給計画を尊重しなければならないこととすること。(第二十五条第七項関係) 3 製造業者等の実績報告及び厚生労働大臣の製造業者等に対する監督に関し必要な事項を定めること。(第二十六条関係) 4 採血事業者は、血液製剤の製造業者等以外の者に原料血漿を配分してはならないこととすること。(第二十七条関係) 八 薬事・食品衛生審議会への附議  五の1から3まで及び七の1等については、あらかじめ、薬事・食品衛生審議会の意見を聴くものとすること。(第九条第四項、第十条第三項、第十一条第三項及び第二十五条第五項関係) 九 罰則  採血者等が、採血の業務に関して知り得た人の秘密を正当な理由がなく漏らしたときに罰則がかかることその他罰則について必要な事項を定めること。(第三十条から第三十七条まで関係) 十 その他  その他所要の規定の整備を行うこと。 第三 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の一部改正(第四条による改正関係)  第一の薬事法の改正に伴い、厚生労働大臣は、第一の七の4に係る報告(血液製剤に限る。)について、薬事・食品衛生審議会に報告し、必要な措置を講ずるものとするほか、採血事業者は、危害の発生等の防止のために必要と認められる情報を製造販売業者に提供しなければならないこととすること等、所要の規定の整備を行うこと。 第四 施行期日等(附則関係) 一 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、第二(六の2を除く。)等については、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から、第二の六の2については、公布の日から起算して一月を経過した日から、それぞれ施行する等施行日について所要の規定を設けること。(附則第一条関係) 二 この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行うこと。 (附則第二条から附則第二十四条まで関係)