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わかばだより No.39
花粉症について

2002年2月発行

 近年、春先になると、花粉症による目のかゆみ、くしゃみ、鼻水などの症状で苦しんでいる人が増えています。花粉症はアレルギー疾患なので、完全に治すことは難しく、日常生活に大きな支障をきたします。しかし、花粉を回避しながら薬を上手に用いて治療を行えば、花粉症もコントロールできるようになります。

花粉症はどうして起こるの?

 私たちの体では、花粉という異物のたんばく質(抗原)が入ってくると、それを受け入れようか、排除しようかとまず考えます。受け入れてしまう人は花粉症になりませんが、排除しようと体が判断すると、それに対する抗体(IgE抗体)という物質を作ります。抗体ができた後に再び花粉が体内に入ると、粘膜にある肥満細胞から、ヒスタミンやロイコトリエンという物質が分泌され、これが粘膜を刺激して、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状を引き起こします。

花粉症の症状は?

 くしゃみ、知らぬ間にポタリとおちる水のような鼻水、口でしか息のできないような鼻づまり、さらにウルウルした涙目と目のかゆみです。

 また、ある時期から急激にそのような症状がおこると、体がだるい、頭痛といった症状もでてきます。ところが、去年まで何ともなかった人にとっては風邪と思い込み、市販薬を服用し、かえって症状を悪化させるケースがみられます。鼻水やくしゃみが1〜 2週間続き、発熱・のどの痛み・胃腸症状がなく、目のかゆみがある場合は花粉症の可能性が高いと思われますので、耳鼻科を受診することをおすすめします。

関東地方の花粉カレンダー

スギ花粉前線

 スギ花粉飛散時期を地図に表したものがスギ花粉前線です。スギの花粉は非常に小さいため、風に乗って数10 キロから時には100キロ以上も飛んで行きます。1粒1粒の花粉は目に見えませんが、たくさん集まると黄色い粉のようにみえます。地方によって花粉のシーズンも違っていますので旅行なとの際には十分注意しましょう。

 参考文献:アレルギー疾患ガイドブック1999 東京都

いつ頃から薬を飲めばいいの?

 症状の発現を予防する治療法として、症状が出る前から抗アレルギー薬を飲む方法があり、季節前投与ともいわれています。目安としては、開花時期の約2週間前から薬を飲み始めます。季節前投与を受けたほうが、花粉の飛散量が多くなった時期にも症状が軽くてすみます。

お薬は症状が軽くなっても指示通りに

 花粉の量は日によってまちまちです。飛散量が多くなり、いったん症状が重くなると回復が遅れ、日常生活がとてもつらくなります。シーズン中は薬を止めないことが重要です。

治療にはどんな薬があるの?

 アレルギー反応が起こるのを防ぐ予防のための薬(抗アレルギー薬)と、くしゃみや鼻水などの症状を改善する薬(抗ヒスタミン薬)があります。

1. 抗ヒスタミン薬

 ポララミン、タペジール、ペリアクチンなど

 アレルギー症状を引き起こす刺激物質の1つであるヒスタミンの作用を抑える薬です。即効性があり、くしゃみや鼻水を止めるのに有効です。副作用として、眠気、のどの渇き、尿が出にくくなる、便秘などがあります。緑内障、前立腺肥大症で排尿障害のある人には使用できないことがあります。

2. 抗アレルギー薬

内服薬 アレジオン、アレロック、セルマレン、メキタミン、ケトテン、アレギサールなど
点眼薬 メインター、リボスチン、ザジテン、リザベンなど
点鼻薬 メインターなど

 ヒスタミンやロイコトリエンといった刺激物質が体内にできるのを抑える薬です。くしゃみ、鼻水、鼻づまりを抑える効果がありますが、効果が現れるのに1 〜2週間かかります。抗ヒスタミン剤と比べると、眠気が現れにくいとされています。

3.副腎皮質(ステロイド)ホルモン薬

点鼻薬 アルデシンAQネーザル、フルナーゼ
点眼薬 フルオロメトロン、リンデロンなど
内服薬 セレスタミン(抗ヒスタミン薬配合)など

 最も強力にアレルギー症状をおさえる薬で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの全ての症状に効果があります。花粉症には主に点鼻薬が使われますが、内服薬と比べ、副作用が少なく、長期間の使用も可能です。

4. 血管収縮薬

 トーク点鼻など

 交感神経に作用して鼻粘膜の血管を収縮させる薬で、粘膜の充血や腫れをとり、鼻づまりの症状を和らげます。この薬は、繰り返し使っていると、かえって症状がひどくなったり、効きが悪くなったりします。鼻づまりがひどいときだけ使うようにしましょう。

5.抗コリン薬

 アトロベント点鼻など

 副交感神経を興奮させるアセチルコリンの作用を抑えて、鼻水を止める薬です。使用後15〜30分程度で効果が現れます。くしゃみ、鼻づまりには効果がありませヶん。緑内障、前立腺肥大症の方には使用できないことがあります。

特異的免疫療法(減感作療法)とは?

 アレルギー反応の原因となる花粉のエキス(抗原)を注射で少量ずつ何度も投与して、徐々に抵抗力をつける方法です。治療効果発現が遅く、長い治療期間が必要です。

日常生活での注意点は?

花粉の飛散量はその日の天候でだいたい決まります。

花粉が飛びやすい 晴れた暖かい日、雨の降った翌日
花粉が飛びにくい 雨の日

なるべく花粉が体内に入るのを防ぎましょう。対策は・・・

外出時 マスクやめがねをかける。花粉のつきやすいウールなどの毛織物の素材を避け、コットンやスベスべした素材の服を着る。
帰宅時 顔を洗って、うがいをする。
洗濯物 飛散量の多い日は室内に干す。

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