月刊民医連資料 No.344(2001年12月)
4年ぶりの開催となった第6回全日本民医連薬剤師交流集会は、2001年10月13〜14日の2日間、滋賀県の琵琶湖グランドホテルで開催され、40県連から205名と全日本民医達薬剤委員ならびに保険薬局委員など合計229名が参加した。
全日本民医連薬剤委員会
4年前に開催された第5回薬剤師交流集会は、医療大改悪が行われた直後の激変する医療情勢の中で開催されました。民医連の薬剤活動は、第1に保険薬局建設の展開、第2に介護保険に伴う福祉分野への取り組み、第3に県連レベルでの医薬品統一購入の取り組み、第4に病院における薬剤管理業務の取り組み、など各分野で大きく前進しまた変化してきました。しかし、総体として薬剤師の活動が見えづらくなっているとの問題意識の上に、それまでの民医連薬剤活動の到達を確認し21世紀に向けての薬剤活動の方向性を明らかにしました。
交流集会では、日本の医療界においても先進的役割を果たしてきたこれまでの薬剤活動の到達を「憲法を医療に生かす」「基本的人権を守る」視点から見直すことを提起し、とりわけ民医連医療活動を担う薬剤師の育成、医療抜本改悪とりわけそのターゲットになっている「薬」が安心して患者に提供できるような社会保障制度の確立に向け、共同組織の人びとと共にたたかい、医療変革の推進者となることが強調されました。また、民医連の薬剤師集団として、社会に訴える見解やわれわれの活動を一層発展させるいくつかの検討課題についても提起され、それ以後の薬剤師政策をはじめ民医連内外に示した政策提言も精力的に取り組まれてきました。
今集会は、これまで4年間の民医連薬剤活動の取り組みを確認し、21世紀初頭、国民に期待される薬剤師の課題を明らかにし、医療制度の抜本改悪を目前にして人権を守る薬剤活動をさらに前進させていくことを意志統一します。
全国的な集会としては今年の2月に薬局法人代表者会議が、4月には病院薬局長会議が開催され、それぞれの問題提起の中で情勢や課題が詳細に展開されました。主要な内容はそれらで学んでいただくこととして、今集会では第5回薬剤師交流集会以降取り組まれてきたことを中心に、1)課題とされた諸政策の到達点、2)地域からの視点、3)情勢からの課題を明確にする会議とします。
【獲得目標】
民医連薬剤活動の到達を確認し、連携を強化して入院・外来・在宅・共同購入などそれぞれの分野の薬剤活動をさらに前進させるための議論をします。
病院薬剤師定数問題を医療活動全般の問題としてとらえ、患者の人権を守り安全な医療を提供する立場から民主的集団医療の実践をとおして薬剤管理指導業務を強化し、実態に即した薬剤師配置をさせていくことを意志統一します。
第4次医療法改悪、2002年の医療抜本改悪、薬害問題など医療・薬剤をめぐる情勢について学び、たたかいと対応を確認します。
これまで民医連薬剤師が果たしてきた先駆的役割を担い、患者から学び、地域の人たちから信頼される人づくり、働きがいのある職場づくりを優先課題として取り組むことを確認し合います。
1995年、社会保障制度審議会から「社会保障体制の再構築−安心して暮らせる21世紀の社会を目指して」の勧告がだされ、憲法で保障されている社会保障の原則を根底から崩壊させ、21世紀にわたって改悪していく枠組みつくりが始まりました。すなわち、「国の責任」を放棄し、国民の負担による「自立と社会連帯」で社会保障制度を維持し、医療・福祉の分野に営利企業の参入を原則認めたものでした。この勧告が全面的に実施に移されたのが2000年に導入された介護保険であり、これはその後にはじまる医療改悪の結節点でもありました。
今年3月に誕生した小泉総理は、1997年に橋本内閣が行った医療の大改悪を厚生大臣としておし進め、その後の高齢者1割定率負担など連続改悪を推進してきた張本人です。今年の6月には小泉首相は、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」いわゆる「骨太方針」を閣議決定し、社会保障の切り捨てがその柱の大きな1つになっています。「株式会社による医療機関の経営参入」「保険者と医療機関の直接契約」「混合診療の促進」「医療費総額の伸びの総枠抑制」等が盛り込まれ、「今後は給付は厚く負担は軽くというわけにはいかない」として高齢者への給付の見直しを求めています。
医療費総枠抑制についても検討が始められ、1)総医療費の上限(キャップ)制、2)病院が使える医療費をあらかじめ予算で配分する方式、3)保険外診療の拡大、4)治療のやり方をあらかじめ決めておく定額払い方式など、基本方針の具体化の論議がすすめられています。
この「医療制度改革」を来年度の予算削減で行うとして、医療費に対する国庫負担を高齢人口増加の自然増の約5500億円に対して2800億円を削減し半分以下に押さえ込み、受診抑制はさらに深刻な事態を招くことが予想されます。
小泉内閣の「聖域なき構造改革」はあらゆる分野にわたっています。
介護保険制度の導入にあわせて国民健康保険法が改悪され、1年以上の保険料滞納者から保険証取り上げが義務化されたことにより、強制的な保険料取り立てや資格証明書の発行の動きが強まっています。
介護保険においても保険料徴収が始まって1年が経過し、1年以上の保険料滞納者に対する罰則規定によって保険からの給付が制限され、介護にかかった費用の全額をいったん自己負担しなければならなくなります。償還払いにはなりますが、さらに滞納が1年半以上続くと保険からの給付が一時差し止めになり、介護保険そのものが受けられないということになってしまいます。
10月からは保険料の全額徴収がはじまります。全日本民医連の「2000年介護実態調査」では調査をした74.5%の方が介護保険実施後負担は「増えた」と回答しており、必要な介護サービスが受けられない実態があらためて浮き彫りになりました。
社保協を中心とした自治体に対する減免を求める運動がひろがり、8月時点で保険料が328(全市区町村の約1割)、利用料が674(同約2割)の自治体で減免が実施されています。しかし、患者さんの中には10月から2倍の負担になることも知らない方や、少ない年金の中から今後さらに負担が増えることへの不安を訴える患者など、現在でも限度額の4割の利用率という実態からすると負担軽減措置などの制度そのものの改善の取り組みを重視しなければなりません。
さらに「構造改革」の不良債権処理による不況が深刻の度を増してきています。失業率が最悪の5%、330万人となり大手企業のリストラが当然のごとくに断行され更に加速する様相を呈しています。「改革していくうちに、ある程度失業者が増えていくのはやむをえない」と小泉首相自身が言い放つ。この先、国民の痛みと不安はさらに増大し、とりわけ働き盛りの中・高年の失業は、まともな医療さえ受けられない生活の苦しみと病気の苦しみという「二重の苦しみ」に追い込まれるのは必至の状況です。所得が低いほど要介護度が高いという調査結果にも見られるように、所得の減少は健康破壊を来たすことが危倶されます。
このように「構造改革」とは、国の財政破綻、大手銀行や大企業の経営破綻のツケを国民に押し付けることに外なりません。真の「改革」とは、湯水のごとく大銀行や大型プロジェクトに税金を使う政治から、国民生活を守り消費不況をなくす方向に政治を大きく転換することです。
第3回評議員会方針では秋から医療・社会保障大改悪阻止のたたかいと共同組織強化の大運動を結合させた取り組みが提起され、「21世紀初頭の日本の医療の方向を決めるたたかい」として、すでに各地でこれまで以上の規模を上まわるたたかいが始まろうとしています。
薬剤師集団としても、小泉首相の「靖国参拝」、日本の侵略を美化する「新しい歴史教科書」など憲法改悪を視野にいれたシナリオづくりを強行しようとする勢力に対して、平和・民主主義を守るたたかいと社会保障を守るたたかいを結合させて大いに奮闘しましょう。
医療事故、医療ミスが連日報道され、国民の医療に対する信頼が大きく揺らいでいます。 「医療の安全性」に関わる問題は日本の医療変革の立場からも一刻の猶予も許されない国民的課題として取り組んでいかなければなりません。医療に関わるミスや事故には約半数に薬が関わっているという調査結果にも示されている通り、リスクマネージャーとしての薬剤師の積極的役割が求められています。
今年の3月28日、薬害エイズ事件の阿部英被告に無罪の判決が下されました。血友病治療の権威者として君臨し、非加熱輸入血液製剤の危険性を最も熟知する立場にありながら使い続けた犯罪的行為が「無罪」とするならば、日本における薬害根絶は無に帰することになってしまいます。その後に起きた薬害ヤコブ病では、死体から取った脳硬膜の移植でヤコブ病に感染する危険性を旧厚生省も製薬企業も知っていたことが小池参院議員の追及で明らかになりました。裁判で和解勧告が出た後も国は、「法的責任はない」と真っ向から対決する姿勢を示しています。繰り返される薬害の根絶に向けて国や製薬企業、一部医療関係者の癒着の構造に徹底したメスがいれられなければなりません。
ハンセン病の違憲国家賠償請求訴訟の勝利判決に対する理事会声明では、90年間にもおよぶ人権侵害に医療関係者として関わってこなかったことに対する謝罪と反省が強調されました。権威ある医師の存在が隔離政策を長期化させた経過は薬害エイズと同様、医療関係者に患者の人権を守る立場を鋭く迫っています。歴史の事実を学び人権を守る医療の実践につなげていくことが重要です。
ゲノム創薬に企業の命運をかけた新薬開発がしのぎを削っています。医薬品の安全性評価は倫理問題も含めてあらたな段階を迎えることになり、薬事委員会機能の強化は焦眉の課題です。
職種部門の県連代表者会議は全日本民医連としては初めて開催されました。
なぜ薬剤師部門かということでは、これまで到達した薬剤師部門の活動として、1)薬の有効性・安全性を基本に据えた副作用モニターなど医療活動としての各種薬剤活動、2)薬事委員会など経済性をも含めた共同購入、3)医薬分業に伴う医療機関、保険薬局それぞれ固有の活動など、多岐にわたる薬剤師部門の薬剤活動を所属や専門の分野だけにまかせることなく、統一的に取り組むことが求められてきたことによるものでした。その推進力になるのが県連、地協レベルの組織活動強化にあることから、開催目的の一つとして、薬剤師が県連単位で積極的役割を果たすべき点を現在の活動の到達と課題を通して明らかにすることを上げ、各県連の薬剤部門の実態調査を元に、今日特に重視すべき課題を次の4点にまとめました。
これらの提起を受けて各県連の取り組みが進められ、第2回の薬剤師交流集会では、県連単位の組織整備、地協レベルの活動が大きく前進し、全日本と県連・法人・院所を結ぶパイプとしての役割が強化されたこと、後継者確保の一定の前進。保険薬局の活動については介護保険の導入、医療抜本改悪など今後の活動に大きな影響を与える情勢の変化に対応した、医療・経営構造の転換などを実態調査に基づいて確認しています。
1999年7月に発表され全国討議に付された「21世紀に人権を守る薬剤師集団の確立を」と題する「薬剤師政策(案)」の討議の促進が呼びかけられました。
当面重視すべき課題として、1)後継者の確保と民医連薬剤師としての成長をいっそう強めること、2)県連薬剤師集団の政策と活動方針の作成を強めること、3)薬剤師集団の団結で院所・患者・地域に見える薬剤活動をすすめること、の3点を提起し、今年の12月には第3回目の県連代表者会議が開催されます。
全日本民医連の副作用モニター活動は「同じ副作用を二度と起こさない」ことを目的に1977年に始まり、モニター制度開始20年を経て年間4000例以上の副作用症例と、3万件近い副作用症例データベースをもつまでに前進し、民間の医療機関の取り組みとしては厚生省も無視できない存在として注目されています。民医連副作用モニターは、患者の生活・職業・地域に根ざした視点で医療現場に密着してモニタリングが行われ、医学的に軽微でも患者のQOLを大きく下げるような副作用も多く集積され、治療に速やかに反映されてきたことが特徴です。
新薬モニターは1997年の第3回副作用モニター員交流集会で提起され、新薬の採用時評価、使用後評価などを行い評価レベルを引き上げていくことを目的としてスタートしました。安全性・有効性・経済性というそれぞれの切り口から「副作用モニター」「医薬品評価価格モニター」「新薬モニター」へと総合的な医薬品評価活動に発展し、第4回交流集会は、「モニター活動を医療活動に生かそう」をスローガンに開催されました。
保険薬局の全日本レベルの会議としては薬局法人トップ研修会を2回、代表者学習交流会が1回開かれてきました。しかし、民医連保険薬局が急速に拡大し、介護保険や医療改悪への対応による「医療・経営構造の転換」の課題など情勢の急激な変化に対応するための保険薬局固有の問題がより鮮明になってきたことから研修や交流会としての位置づけではなく、法人トップが確認された諸課題を実践することを重視した会議とする議論がされ、1999年に第1回目の薬局法人代表者会議が開催されました。
1997年から始まった「薬代の二重負担」「薬価制度の見直し」「薬の保険はずし」「コンビニでの薬の販売」「調剤報酬のまるめ」など情勢を主体的に切り開くための覚悟とその組織的保障となる民主的管理運営が強調されました。1997年に策定された「保険薬局政策」で述べている民医連保険薬局の存在意義として「新たな民医連運動の拠点」として地域医療に貢献すること」と規定し、保険薬局の重点課題として7点が確認されました。会議ではその7点に添ってアンケート調査をもとにこの間の取り組みを確認し、「地域になくてはならない医療機関」としてまた、情勢の激変に主体的に取り組む課題として、「『安心して住み続けられるまちづくり』の視点から薬局の役割を見直し、その組織的保障である民主的管理運営を確立しよう」ということが主要テーマとしてあげられました。
第2回は薬価差の縮小、医薬分業の進展による処方箋発行の増加、介護保険導入など新たな情勢の変化のもとで開催されました。前回提起された7つの重点課題にそって到達点を明らかにしました。「安心して住み続けられるまちづくり」の視点からは、民医連外の医療機関からの処方箋受け入れが進み、処方箋受け入れを通して患者や医療機関とのつながりが広がっていること、介護保険対応では、多くの薬剤師がケアマネージャーの資格を取得し、保険薬局が介護保険事業所の指定を受け、ケアプランの作成や福祉事業への拡大、介護保険の制度上の矛盾に対する自治体へむけての運動の取り組みが始まってきたことなどが報告されています。第1回目に提起された課題を引き続きの課題とし、新たに次の2つの課題が提起されました。
そして第1に、薬局をめぐる新たな問題として、「新規法人の設立」「診療所対応の建設」「介護分野の事業と薬剤師集団の主体的かかわりと県連への集中と指導」を重視し、法人・県連薬剤師集団の十分な議論を第一義とすること、第2に予想される困難な状況での対応として、連続する医療改悪に共同組織の人びとと運動を強めること、が議論されました。
かつては病院で完結していた民医適薬剤活動が、病院・保険薬局・卸(事業協同組合)と分散化しています。法人を超えた薬剤師集団の団結が弱くなっているという指摘もなされあらためて病院薬剤師の体制の検討や法人を超えた薬剤師集団づくりが求められる中で、病院薬剤活動の到達を確認し今後のすすむべき展望を切り開くことを主要な任務に8年ぶりに病院薬局長会議が開催されました。
民医連の病院薬剤師に求められる役割として、「患者・地域の人びとからの期待される役割」「医師や医療スタッフから求められる役割」「地域の医療機関や職能団体などから求められる役割」を明らかにし、患者の人権を守り、民主的集団医療、共同の営みを前進させる視点での薬局業務の構築が提起されました。とりわけ、医療における安全性の確保のための薬剤師の役割や、病院薬剤師定数見直しによる実質定数削減に対して、全国規模の実態調査をもとに課題を明確にして、薬剤管理指導業務への取り組み強化が議論されました。
「民医連保険薬局の存在意義は、これまでの活動の蓄積の上にたって、民医連の医療機関との連携を軸に、民医連ならではの薬局活動を展開し、『あらたな民医連運動の拠点として』地域医療の民主化に貢献することです」として7つの重点課題を確認し、今日の民医連保険薬局のあらたな到達をつくり出しています。
「企業本位の現行薬価制度のゆがみを正し、国民本位の薬価制度に改善する提案」、医療保険制度の抜本改革悪の中心として現行薬価制度を全廃し、「日本型参照価格制度」が導入されている中で国民のための薬価制度のあり方について提案しました。
薬事委員会を民主的集団医療のセンターとして、今日の情勢に見合って整備し、医薬連携や県連結集の中で薬事委員会を構築していくことを提起しました。
激変する情勢のもとで、患者・国民から求められるものは何かを深くとらえ、薬剤師職能を考える指針とし、県連での薬剤政策づくりを促進する」ことを政策つくりの目的のひとつとして提起されました。
1998年12月に病院薬剤師人員配置の見直しが行われ、3年間の暫定期間を経て2001年12月に定数基準の見直し決定を行うことになっています。医療の安全性確保が国民的な最重要課題として病院薬剤師の果たす役割もあらためて重視されている時に、旧基準の遵守率60%以下とする民病協の調査をもとにした見直しは、医療の実態を無視し、これまで病院薬剤師が築いてきた薬剤業務の到達を大きく後退させるものです。
薬剤委員会では病院薬剤管理指導業務プロジェクトを発足させ、厚生省交渉、日本病院薬剤師会との懇談を行いました。また、薬剤管理指導業務の到達と課題を明らかにすることを目的に、民医連加盟病院を対象に詳細な実態調査が行われました。その結果、民医連での対患者算定率は平均35%で、厚生省20%、日病薬25%の報告よりは高い算定率になっていることが確認されました。さらに量的充実とともにカルテ開示など質的向上も課題としてあることから、これまでの進んだ経験を民医連全体のものにすることを呼びかけ、病院薬局長会議でも薬剤管理指導業務の取り組みのさらなる強化を提起しました。
民医連薬剤師の病棟薬剤活動は1971年の第2回薬剤師交流集会で福岡・千鳥橋病院の実践報告を契機に各地の民医連院所で取り組みが開始され、副作用モニター、薬事委員会、医薬品情報提供、TDM、薬品管理などと共に先進的な役割を果たしてきました。
EBMに基づいた医療やクリニカルパスなど、新しい医療のあり方が模索されています。医療の安全性についても民主的集団医療の実践でこそ確立していく課題です。国民からは与えられる医療から自ら参加する医療を、そして安心して納得のいく医療が切望されています。
病院の薬剤活動は新たに保険薬局に引き継がれ、地域の中で薬を服用している全ての患者を対象にした薬剤活動へと広がり、介護保険では福祉の分野でも薬剤師の奮闘が期待されています。病院薬局、保険薬局が連携し相互に学び合ってこそ、これまでの薬剤活動の到達を大きく前に進めていく原動力になるものです。病院薬剤師の定数削減につながる見直しは薬剤師の問題としてのみならず、国民の求める医療にどう応えていくかに関わる問題として捉えていく必要があります。
この間、実態調査をもとにして、日本病院薬剤師会との懇談、厚生省への要請などが行われました。薬剤管理指導業務を強化し、実績もつくりながら広く世論に訴えていくことが緊急の課題になっています。
医療・社会保障大改悪阻止の運動は、地域社会を守る国民運動でもあります。広範な人びととともに、地域社会を守り、小泉流「改革」の危険な内容に反撃するために、医療・福祉の守り手の一員として、薬剤師もその先頭に立つことが大切です。
今集会は病院薬剤師配置基準確定を目前に控えて開かれた病院薬局長会議と、「薬価差縮小」「医薬分業の進展による処方箋発行の増加」「介護保険導入」という新たな情勢のもとで開催された第2回薬局法人代表者会議で提起された諸課題を引き続きの課題として実践していくこととします。
すなわち、民医連薬剤活動の到達を患者の人権を守り、民主的集団医療、共同の営みを前進させる視点で法人を超えて連携を強化し、民医連医療を担う後継者づくり、薬剤活動の諸課題や社会保障、共同組織の取り組みなどを薬剤師集団として県連的な取り組みとして強化することにあります。さらには薬剤師確保、教育・研修、新薬・副作用モニターなど地協レベルでの課題の検討、実践が進んできています。県連・地協のパイプを太くして、病院・薬局で解決の困難な課題でも連帯を強化する中で解決の端緒を切り開いていきましょう。