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わかばだより No.35

更年期を迎えるあなたへ
2001年6月 わかば薬局発行

1. 更年期って何だろう?
2. 更年期症状の自己チェックをしてみましょう
3. 更年期の症状
4. 更年期に注意したい病気
5. 更年期の治療について
6. 更年期の乗りきり方

更年期って何だろう?

 卵巣の働きは35歳位をピークに急激に低下していきます。卵子を育てる卵胞の重さや数が減り、そこから分泌されるエストロゲンという女性ホルモンの量も一気に減少し、やがて閉経をむかえるのです。
 更年期とは、この閉経をはさみ、卵巣が機能を失うまでの期間をさします。個人差はありますが、50歳前後10〜15年くらいとされています。

更年期症状の自己チェックをしてみましょう

症  状 点数
1 顔がほてる 10 6 3 0  
2 汗をかきやすい 10 6 3 0  
3 腰や手足が冷えやすい 14 9 5 0  
4 息切れ、どうきがする 12 8 4 0  
5 寝つきが悪い、眠りが浅い 14 9 5 0  
6 怒りやすく、イライラする 12 8 4 0  
7 くよくよしたり、憂うつになる 7 5 3 0  
8 頭痛、めまい、吐き気がよくある 7 5 3 0  
9 疲れやすい 7 4 2 0  
10 肩こり、腰痛、手足の痛みがある 7 5 3 0  
合計点  

 症状の程度に応じ、自分で○印をつけてから点数を入れ、その合計点をもとにチェックします。どれか1つの症状でも強くでれば強に○をしてください。

●更年期指数の自己採点の評価表
<0〜25点>
異常なし
<26〜50点>
食事、運動に注意
<51〜65点>
更年期・閉経外来を受診
<66〜80点>
長期の計画的な治療
<81〜100点>
各科の精密検査、長期の計画的な対応

 いかがでしたか?
 普段漠然とこのごろ体調が悪いと思っている人も、こうして自分で点数評価をしてみると、改めて症状の毎度がわかる面もあるのではないでしょうか。
 合計点数が低くても重い症状がある場合は更年期障害が高いといえます。

更年期の症状

 更年期になると卵巣機能の低下で女性ホルモンの分泌量が減少してきます。そこで脳や下垂体は、卵巣での女性ホルモンの分泌を促すため、以前にも増してアクティブに働きかけます。このオーバーワークが、更年期特有の症状を導き出しているといえるのです。
 更年期の症状の出方や強さは、人によって異なります。その理由は、女性ホルモンの減少だけでなく、全身的な老化の程度など肉体的な要因、性格など心理的な要因、そしてこの時期に起こりやすい様々な環境的要因が、絡み合っているからです。


ほてる・のぼせやすい
汗をかきやすい

肩こり・腰痛
関節痛がある

イライラする
神経質になる

だるい・疲れやすい

しびれや、アリが這っている
ような感覚がある

手足や腰が冷えやすい


● 更年期に気になる症状
血管運動神経症状 ほてり・のぼせ、多汗、手足や腰の冷え、動悸・頻脈
精神神経症状 めまい、耳鳴り、頭痛、頭が重い、眠れない、
眠りが浅い、不安、ゆううつ、イライラ、
興奮しやすい、無気力、神経質、孤独感、
気分不安定、記憶力減退、物忘れ
運動器官系症状 肩こり、腰痛、関節痛、背部痛、筋肉痛
皮膚・分泌系 むくみ、静脈瘤、シミ、シワ、湿疹、
皮膚のかさつき、口やのどの乾き、
目の乾き、舌痛症、唾液分泌異常
消化器系症状 食欲不振、胃もたれ、便秘、下痢、腹痛、
腹部膨満感、腹部痛、のどのつかえ
泌尿器・生殖器系症状 頻尿、残尿感、排尿痛、月経異常、性交痛、膣乾燥感、
性器下垂感、性欲低下、外陰そう痒症、不感症、冷感症
知覚系症状 しびれ、蟻走感、かゆみ、知覚過敏、知覚鈍麻
その他 だるい、疲労感、胸部圧迫感、立ちくらみなど

更年期に注意したい病気

 更年期の症状は、他の病気のために起こる症状と紛らわしいものが、少なくありません。この時期に現れる症状の全てを、更年期のせいとして片付けてしまうと、病気を見逃す恐れがあります。
 気になる症状が続いたり、だんだん悪くなるようなら、他の病気の可能性も考え、医師の診察を受けることが大切です。

● 更年期の症状と間違えやすい病気
月経不順 子宮筋腫、甲状腺機能の異常
不正出血 子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜増殖症
性交後の出血 子宮頚がん、頚管ポリープ、膣炎、
腟部びらん
頭痛が続く 脳腫瘍、くも膜下出血、甲状腺の異常
目・鼻・耳・歯の病気
頭痛、首や肩のこり、
めまい、耳鳴り
高血圧、低血圧、眼精疲労、
自律神経失調症
めまい、耳鳴り、難聴 メニ工ール病、突発性難聴、中耳炎、
脳梗塞、脳腫瘍
関節のこわばり、
手や肩、腰の痛み
慢性関節リウマチ、五十肩、四十肩、
変形性脊椎症、骨粗鬆症
手足のしぴれ 変形性脊椎症、脳の病気
動悸、息苦しい 狭心症、心筋梗塞、不整脈、心臓神経症
頻尿・残尿感 膀胱炎、子宮筋腫、子宮脱
のどの渇き 糖尿病
食欲不振、胃の違和感 胃炎、消化性潰瘍、胃がん
便秘・下痢をくり返す 大腸ポリープ、大腸がん、過敏性腸症侯群
ゆううつ うつ病

更年期の治療について

更年期の症状であることがわかったら医師とよく相談して適切なアドバイスをもらいましょう。

ホルモン療法

減少した女性ホルモンを飲み薬や注射で補充する治療法。
閉経後骨粗鬆症や高脂血症の予防にも効果があります。
 [プレマリン、エストリール]

漢方療法

1人1人の体型や体力症状にあわせて薬を処方 身体の自然治癒力を高める治療法
・加味逍遥散(かみしょうようさん)
神経質で肩こり、疲れやすい、不安など不快な症状が多く、便秘がちな人。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
痩せ型の女性で、疲れやすく足腰の冷えやすい方に。
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
体力中等度以上の人で、頭痛・めまい・のぼせなどのある場合に使われます。

その他

その他の薬物療法(自律神経調整剤、抗不安薬など)やカウンセリング、温熱療法 など。
・自律神経調整剤 [グランダキシン、ガンマ・オーゼット]
自律神経中枢を調整する成分などが含まれていて、顔面紅潮、冷え性などに効果があります。
・抗不安薬 [セレナミン セレナール]
不安やストレスが原因で起こる神経症を改善し、イライラ・不眠などを取り除きます。

更年期の乗りきり方

 更年期は誰しも避けて通れませんが、いずれ過ぎるものです。受け入れながら上手につきあっていくしかありません。
 過保護になりすぎる必要もないけれど、時にはなだめながら、仲良くつきあっていきましょう。

規則正しい生活とバランス
のとれた食事を心がけまし
よう。

社会活動などに積極的に参
加し生き甲斐を実感しまし
よう。
体や脳を生き生きさせるた
めに運動を生活に取り入れ
ましょう

参考資料

「なるほど!更年期」、主婦と生活社
「病気とくすりの本 ぱあと2」、薬局新聞社
「ナイスミディヘルスブック」

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