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民医連の薬剤活動の到達点と課題【資料】
民医連総会方針にみる薬剤活動 1962-1994

1995. 8. 9 Ver.0.93.3

薬剤問題検討委員(発表時)
藤竿伊知郎


民医連総会
第10回総会 1962.7、香川・琴平町公会堂
第11回総会 1963.6、静岡・熱海市観光会館
第12回総会 1964.6、岡山・労働会館
第13回総会 1965.7、宮城・仙台市公会堂
第14回総会 1966.6、兵庫・神戸海員会館
第15回総会 1967.6、山梨・県民会館
第16回総会 1968.7、大阪・府立厚生年金会館
第17回総会 1969.6、青森・市民会館
第18回総会 1970.7、島根・県民会館
第19回総会 1971.7、東京・九段会館
第20回総会 1972.2、大阪・中小企業文化会館
第21回総会 1974.2、京都
第22回総会 1976.2、静岡
第23回総会 1978.2、広島
第24回総会 1980.2、愛知
第25回総会 1982.2、福岡
第26回総会 1984.4、宮城
第27回総会 1986.4、岡山
第28回総会 1988.3、群馬
第29回総会 1990.3、鹿児島
第30回総会 1992.2、福島
第31回総会 1994.3、徳島

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 原文の中から薬剤関連事項を抽出した。あきらかな誤字を訂正したことと、数字の表現を漢数字や丸付数字から変更した部分がある。

第10回総会 1962.7、香川・琴平町公会堂

《第10回総会(1962).一 経過報告.(二)医療活動について.3 医療内容・技術の向上と学習活動について》

 東京・薬剤師部会は月1回の定例会議をもち、薬剤センター設立の手がかりとしての諸調査をすすめています。
(中略)
 第4回近畿学術集談会は350人の参加者を集め、出題者は全職種にわたっており、社会医学、ポリオの両シンポジュームは会の主要な内容として、多くの成果が報告されています。この成功に励まされて、第1回関東民医連連絡会医師学術集談会、看護婦集談会が開かれました。青森・新潟もそれぞれ医学集談会を開いています。

《第10回総会(1962).三 活動方針.(一)医療活動について.(1) 患者の立場に立つ医療について.四 診療補助部門の場合》

 従来、薬剤師、検査およびX線技師、給食関係など診療補助部門の仲間たちが、診療活動のなかで果している役割を必ずしも正しく評価してきたとはいえません。これまでのどの総会の記録をみても、この部門の仲間たちからの建設的な意見や院所内における不遇をかこつ言葉がどこかに残されています。しかし、診療活動を質的に高めていくという立場から、これらの意見を正しくうけ入れてゆく努力がなされていたとはいえません。

《第10回総会(1962).三 活動方針.(一)医療活動について.(2)その実践のために》

 二、各連合会・院所において看護婦、検査、X線、薬剤、食養などの部門の部会を確立し、定例化しよう。そして、それらの個々の部門が日常診療活動のなかでどんな役割を果しているか、「患者の立場に立つ医療」を発展させるにはどんな役割を果すべきかについて討議しよう。

第11回総会 1963.6、静岡・熱海市観光会館

《第11回総会(1963).第2部 前年度をかえりみて、今年度はいかに活動するか.三、経営問題について.(三)当面の問題点について.ロ、薬品費引下げと薬品管理の改善》

 わが国の製薬独占資本はアメリカの製薬独占資本に従属を深めながら、抗生物質や副腎皮質ホルモン剤などをマスコミの宣伝にのせて売出し医療機関におしつける一方、政府の薬価基準によって独占利潤を確保し、薬品問屋を整理系列化して値くずれを防ぐ態勢をすすめています。昨年11月、厚生省の保険診療への新薬大はば採用はこの傾向をいっそう促進しており、民医連院所の薬品費の昂騰も近来とくにめだっています。われわれは薬品費による収奪からいかにして経営をまもるかについて、早急にほりさげた検討をおこない、各院所が共同して効果的な引き下げ手段を講ずる必要があります。
 同時にわれわれは購入品目の統制や在庫管理の徹底など、薬品管理の改善にいっそう努力を集中するとともに、民医連院所による共同製剤などについても検討しなければなりません。これらの点で京都の薬剤センターの経験についても学ぶ必要があります。

第12回総会 1964.6、岡山・労働会館

《第12回総会(1964).第1部 経過報告.一、医療活動について.三 東西学術集談会の開催》

 昨年12月14、15の両日、関東連絡会主催の第3回関東民医連学術集談会が湯河原で開催され、170名が出席しました。出題は集検活動、症例報告、検査、看護、薬剤、給食、事務、実態調査などにわたる計31題でとくに看護婦からの出題、出席が多かったことは特徴的でした。その内容も前年度に比して前進を見せています。
(中略)
 今年2月16日には近畿連絡会主催の第6回西日本民医連学術集談会が大阪で開催され300名出席しました。出題の種別はほぼ関東と同様で計62題ですが、”院所ぐるみ”の地域へのとりくみが発展していることが特徴的にみられました。

《第12回総会(1964).第2部 活動方針.I われわれをとりまく情勢.二 医療の再編成・合理化がすすめられている.四 低診療報酬と差額徴収の拡大》

 なお医療機関の経営を悪化させているもう一つの大きな原因として、薬品費の高騰を見逃せませんが、これも政府が製薬独占にもうけさせるだけもうけさせているからです。

《第12回総会(1964).第2部 活動方針.II これからの活動をどうすすめるか.八 経営上の諸問題について》

 薬品費については、独占薬価引き下げの共同行動の組織について考える必要があります。仕入れの合理化、薬品管理の合理化などももちろん研究実施しなければなりませんが、それだけでなく診療内容とむすびつけた総合的な検討も考える必要があります。

第13回総会 1965.7、宮城・仙台市公会堂

《第12回総会(1964).I われわれをとりまく情勢.一 健康と医療はますます破壊されている.(2)医療と医学の破壊.F 製薬独占》

 医療破壊のひとつの側面として、製薬独占資本の役割を見のがすことはできません。武田薬品などのいわゆる大手10社の生産高は、35(1960)年の世界第5位から38(1963)年にはアメリカにつぐ世界第2位(3363億円)にのしあがり、大衆保険薬や新薬によってぼろもうけをつづけています。薬品の国内販売高は国民総医療費の薬4割をしめていますから、医療機関も患者も保険医療使用医薬品と売薬を通じて製薬独占資本に大きく収奪されているといえます。とくに抗生物質や、副腎皮質ホルモン剤などはアメリカの製薬独占資本を中心とする外国独占資本の技術導入によって生産されているものが多く、直接外国資本との合弁会社が20社、円ベースによるもの16社、(38年)に達し、こんご開放経済体制の進行によって、外資導入や技術提携はさらに拡大するものと予想されるので、薬品を通じて日米製薬独占の収奪がますます強められることはあきらかです。昨年来政府は薬品費が医療保険財政膨張の最大の原因だとみなし、これをおさえることを口実に健保本人薬代半額負担の改悪をおしつけようとしています。したがって製薬独占の収奪は、直接、間接に医療危機をふかめる大きな原因になっています。

《第12回総会(1964).II 経過報告.二 組織をいかに強化拡大したか.(2)「人」の体制について.B 看護婦などの充足》

 なお、職種別の学習、研究活動の成果として、東京民医連薬剤師部会の「薬品の階級的把握をめざして」をあげることができます。

《第12回総会(1964).II 経過報告.二 組織をいかに強化拡大したか.(3)経営・管理の改善について》

 この1年間を通じて、経営・管理改善のための重要な動きとしては、院所間の連帯強化を基礎として協同化を促進する動きです。埼玉、大阪の統一基金制度の発展や、京都の薬品・衛生材料共同購入のための協同組合設立や、また単に経営管理の問題としてみることはできませんが、東京・中野区や京都市北区の院所統合の動きなどが注目されます。

#第14回総会 1966.6、兵庫・神戸海員会館

《第14回総会(1966).私たちをとりまく情勢.1 健康と医療の破壊はさらにはげしくなる.B医療・医学の破壊.ニ 製薬独占による収奪》

 製薬独占による収奪は、わが国の医療を大きくゆがめています。
 ここ数年の間にアンプル剤による死亡の頻発や、安全性と有効性のたしかめられていない国産小児マヒ生ワクチンの投与強行による被害の続出や、サリドマイド事件や、キセナラミン事件や、また、さいきんの岩手の南光病院問題のような人体実験による死亡など、「薬」による被害がつぎつぎと大きな社会問題になりました。
 また、ビタミン剤や強肝剤などいわゆる大衆保険薬や無制限に売られている抗生物質による耐性のひろがりなども大きな問題です。
 昨年の全国民医連薬剤問題検討会でも、「いまや薬という怪物が医療を支配して、ゆがめている」「もうけるためには、人命や健康は問題にならない」という状態が報告されました。このような状態をつくりだしているのは、製薬独占と政府です。
 わが国の医薬品生産高は、高度成長政策のもとで、昭和35年から39年まで年々18%から28%にたっする伸び率(対前年比)を示してふくれあがり、そして38年には、アメリカにつぐ世界第2位の製薬国にのしあがりました。そして、その利益率も全製造工業中第1位をしめていますが、一部は技術提携、外資導入などによって、主としてアメリカの製薬独占にすいとられています。
 武田薬品を中心とする製薬独占のこのような飛躍的な生産増加は主として医療保険制度への寄生によってもたらされたものであり、大衆保険薬も部分的な役割をはたしています。かれらは医療行政をあやつり、実験も十分におこなわれていない新薬をつぎつぎとうりだし、医療機関が薬価基準と実際の仕入価格との差額によってかろうじて経営を維持しているという医療保険制度のしくみを利用し、年々増産される大量の医薬品を国内で消費させてきました。その結果、医療機関の経営が困難になればなるほど、診療報酬のなかにしめる投薬・注射料の比率は上昇しており、とくに国民皆保険となった36年いご急増しています。
 大衆保険薬は合理化攻勢で慢性疲労状態になっている労働者が最大の買い手です。製薬独占は年々総売上高の1割ちかい宣伝比をマスコミにつかって錠剤、アンプル剤、ドリンク剤をうりひろめてきました。
 このような製薬独占の収奪も昨年は過剰生産のかべにつきあたり、医薬品生産高の伸び率は8.1%という35年以後の最低率になりました。この状態に直面して、製薬独占がうちだしてきた手は、国内市場を拡大するために政府の薬価基準ひきさげを利用して医療機関にさらに大量の薬、とくに新薬を使わせ、生産流通過程を系列化することと、侵略政策にむすびついて、海外進出をすすめるふたつの道です。
 昨年11月の薬価基準ひきさげいご、東京民医連の院所でも薬剤使用量がふえ、新薬の使用量もふえています。海外進出については、南ベトナムその他東南アジアへの経済援助のなかに医薬品がつねにふくまれており、製薬独占は侵略戦争の拡大を期待しています。
 私たちは、このような医療をゆがめ破壊している製薬独占の役割を重視していかなければなりません。

《第14回総会(1966).この1年間をふりかえって.1 医療活動について.B 民医連医療の追求.ニ 院所内の体制について》

 薬剤師は、薬剤問題検討会で「製薬独占の政策をバクロし、新薬などにたいする正しい認識を確立する教育者、組織者となり、民医連医療の階級性をつらぬく重要な役割」があきらかになり、こんごの仕事をすすめていく大きな責任をになっています。

《第14回総会(1966).この1年間をふりかえって.1 医療活動について.B 民医連医療の追求.ホ 綱領の立場から薬剤問題を》

 薬剤問題については、これまでは、仕入価格の引きさげとか共同仕入とか、共同製剤、約束処方など、主として経営上、管理上の観点から検討されていましたが、昨年の第1回薬剤問題検討会は、綱領にもとづく民医連医療の立場から薬剤問題をほりさげて検討し、製薬独占の新薬による収奪政策の本質をあきらかにし、働く人びとの医療機関としての階級的観点にたって、民医連医療における薬剤の正しい位置づけに一歩をふみだした点で、画期的な意義がありました。また、この集会の一致した要望として、中央に薬剤情報センターを確立する問題が提起されています。この集会の内容は、そのご京都、大阪、九州、群馬、埼玉、神奈川などの地方集会や部会でさらに浸透しつつあります。また、京都や東京では、薬剤師によってこの集会の内容の職場・地域への宣伝活動などもおこなわれました。
 この集会の成果は、民医連医療の中心にふれる問題として、こんごさらに発展させなければなりません。

《第14回総会(1966).運動をどうすすめるか.1 綱領の立場から医療活動を前進させよう.C 薬剤問題の検討をさらに発展させる》

 昨年の薬剤問題検討会は、私たちの院所での薬剤のつかい方について大きな問題を提起しました。
 しかし、この問題へのとりくみはそのごあまりすすんでいません。わたしたちの今年度の重要な課題のひとつとして、新日本医師協会などと協力し、とりくみを発展させなければなりません。
 また検討会で提起された薬剤情報センターの設置について、具体的に検討する必要があります。

第15回総会 1967.6、山梨・県民会館

《第15回総会(1967).わたしたちをとりまく情勢.四 健康と医療をまもるたたかいが前進している.医療労働者、医師、患者のたたかい》

 患者は、結核新薬の獲得、結核療養所・病院の統廃合反対のためにたたかっています。また新宿日赤産院、岩手南光病院など薬害、人体実験、医療事故の責任を追及するたたかいもつよまっています。
 科学者が「公害」や薬害に反対するたたかいに参加し、とくに日本学術会議有志が、米軍のベトナムにおける農薬の軍事的使用反対を世界の科学者に訴えた活動は重要です。

第16回総会 1968.7、大阪・府立厚生年金会館

《第16回総会(1968).この1年間をふりかえって.一 民医連医療をどのように実践したか.(1)日常の医療活動について》

 県連の部会活動としては、ほとんどすべての県連で看護婦部会が確立し、着実に技術学習や経験交流がおこなわれており、群馬、埼玉、東京、神奈川、京都などで各職種の部会活動が積極的におこなわれ、一人ひとりが技術をたかめるうえで重要な役割を果しています。東京の薬剤師部会の活動は民医連医療における薬品問題の位置づけと薬剤師の任務をあきらかにするうえで貢献しています。
(中略)
 これらの活動をつうじて、技術の修得や向上を医師や技術者の個人の問題にしないで、地域の要求にこたえていく立場から院所の医療活動方針のなかに位置づけ、これを院所として保障する体制がつよまっています。

《第16回総会(1968).わたしたちをとりまく情勢.二 患者、労働者と医療機関にたいする抜本改悪攻撃.(2)医療破壊の拡大》

 こうしたなかで製薬資本は、一面では医療保険に依存し、一面ではマスコミによって「大衆保険薬」の大量消費をあおり、ぼう大な利潤をすいあげ、41(1966)年には生産額が5,000億をこえ(37年の約2倍)、アメリカ製薬資本の支配がつよまっています。
 さらに、厚生省は昨年9月、医薬品の製造承認に関する基本方針をだして、新薬品開発に名をかりて日米製薬独占の利益を保護し、中小製薬メーカーの系列化を促進する方向をつよめてきています。

《第16回総会(1968).民医連運動をこんごどうすすめるか.一 民医連医療の実践をさらに前進させよう》

 5 つぎの項目を今年度の具体的な課題としてとりくむ必要があります。
 (中略)
 (4)薬品問題を民医連医療の観点からあきらかにすることは、ますます重要になっています。一昨年の検討会の成果やその後の東京薬剤師部会のとりくみを基礎に、理論的検討と具体的な対策について意思統一をすすめなければなりません。

《第16回総会(1968).民医連運動をこんごどうすすめるか.三 経営活動を強化しよう》

 7 統一基金や薬品、材料の共同仕入れなどの院所の共同事業については、実施県連の経験にまなび、長所を発展させ、欠陥の発生を防ぐようあらかじめ意思統一して実施する必要があります。

第17回総会 1969.6、青森・市民会館

《第17回総会(1969).この1年間をふりかえって.2 前年度の方針をどのように実践したか.ニ 老人健診、職員と民主的活動家の健康管理、青年医師の受け入れ・研修、薬剤問題などへのとりくみ》

 (4) 薬剤問題を民医連医療の観点から追求するとりくみについては、第2回薬剤問題検討会(12月)でふかめられ、院所に普及されつつあります。その内容は、薬の効果、副作用の科学的把握と日常の医療への正しい適用、健保制度を通じて収奪をつよめている製薬資本のバクロと批判の強化、薬剤の科学的管理の強化、各県連・院所に薬事委員会をもうけることの重要性、薬剤センターの設置などです。5月には民医連薬剤ニュース第1号が発行されました。また文京医療生協薬事委員会の活動は先進的な活動として学ばれています。

《第17回総会(1969).この1年間をふりかえって.2 前年度の方針をどのように実践したか.ホ 医療内容の向上について》

 第2回薬剤問題検討会(12月)では、「民医連医療における薬剤問題」をテーマに、薬剤の基本的考え方、健康保険制度をつうじての製薬資本の収奪の実態、薬剤の科学的な使用と管理について検討し、さきにのべたような意思統一をすすめ、各院所、連合会に薬事委員会をもうけることの重要性など先進的経験にまなぶなど大きな成果をおさめました。

《第17回総会(1969).わたしたちをとりまく情勢.2 医療医学の破壊がふかまっている.2 医療の破壊》

 日本の薬品工業はアメリカ資本などと提携して驚異的な膨張をつづけ、生産額は世界第2位になり、昨年中の生産額は6890億円、対前年22%も伸び、大手6社が総生産高の40%をしめています。製品は医療機関向けが71%に達し、大衆保険薬をふくめて製造原価の3倍以上で問屋におろし、小売店には再販売価格維持制度によって高い独占価格をおしつけているので、製薬独占の利益率は60〜70%に達しています。このような製薬独占の異常な発展は、げんざいの社会保険診療報酬体系が投薬、注射をしなければ収入があがらないしくみになっていることと密接に関連しており、そのために医療機関はますます薬剤の多用に追いやられ国民医療費中にしめる医薬品費の比率は35(1960)年度には22%だったものが42(1967)年度には40%に急増し、すべての医療機関が製薬独占のつよい収奪をうけ、医療内容のゆがみや医療経営の困難さがいっそう助長されています。最近の厚生省薬務官僚の汚職事件は製薬独占と政府・自民党とのくされ縁をバクロしています。

《第17回総会(1969).こんごどのように活動するか.1 民医連医療の実践をさらにつよめよう.6 薬剤問題》

 製薬独占の医療機関収奪が強まるなかで、薬剤問題はますます重要になっています。
 民医連医療の立場から、薬の効果、副作用の科学的把握と日常医療への正しい適用、薬の科学的管理の強化などのために、各院所、県連に薬事委員会をもうけるなどとりくみをいっそうつよめ、これと結合して民医連および県連の薬剤情報活動をかっぱつにしていく必要があります。また医療保険の抜本改悪反対のとりくみのなかで、製薬資本の収奪のバクロと批判もつよめていくことが重要です。

《第17回総会(1969).こんごどのように活動するか.2 経営活動をつよめよう.5 薬剤管理の改善》

 薬品費が年ごとに高騰し、診療所では総支出の30〜40%となり、人件費が圧迫されてきています。薬効を軽視し、製薬独占資本の利潤追求を優先させている薬務行政に対抗し、薬効を中心として情報活動をおこなうことが提起されておりまた薬品費の対策については、薬剤センターの設置が県連段階、ブロック段階で一部すすめられてきていますが、これらの経験を重視し、独占薬価ひきさげ闘争とともに医療と経営の両側面からの追求をいっそう強化しなければなりません。

《第17回総会(1969).こんごどのように活動するか.2 経営活動をつよめよう.7 統一経営と共同事業》

 院所の協力、共同、連帯については条件のあるところでは統一基金や、薬品、材料の共同仕入れなどの共同事業を経営上の協同化をめざす活動として促進しなければなりませんが、この場合県連の団結を保障し、院所の経営強化の支援となるよう実施県連の経験から学ぶことが大切です。

第18回総会 1970.7、島根・県民会館

《第18回総会(1970).I この1年間をふりかえって.1 民医連医療をどのように実践したか.(3)体制を創意的に強化し、医療内容をたかめるとりくみについて.薬剤問題》

 民医連医療の立場から、薬効と副作用の科学的把握や日常の診療への正しい適用などの検討がすすみ、腸溶剤の崩壊度調査(奈良)、アンチガス(メチレンブラウ)注射液の無効調査(愛知)、チクロ、含有色素など薬品添加物などに対する調査がすすめられました。兵庫、埼玉などでは薬剤委員会がつくられ、民医連医療の立場からの追求がおこなわれています。しかし、全国薬剤ニュースの発行は中断しています。

《第18回総会(1970).I この1年間をふりかえって.2 経営活動をどのようにつよめたか.(4)薬剤管理の改善》

 大部分の院所では医療収入の増加を上まわる薬剤費の上昇によって薬剤費率は前年度よりたかまっています。
 薬事委員会を設けているところでは薬効の問題とともに経済性が組織的に追求され、薬効を中心とした情報活動、統一購入在庫管理の工夫もすすんでいます。
 兵庫、埼玉では全院所の薬品の購入価格を調査し、薬剤費率を下げるための努力がはらわれ、また利根中央病院では医局が、薬効、在庫管理などの問題を重視し、薬剤費率を下げました。

《第18回総会(1970).II わたしたちをとりまく情勢.1 健康と医療の破壊が拡大している》

 また製薬独占資本の医療機関にたいする収奪は、44(1969)年度上半期の武田薬品以下12社の利益が362億円(利益率73%)に上っていることにみられるようにいっそう強まり、アメリカ製薬資本への従属がふかまり、大部分の医療機関が薬剤費の増加に苦しんでいます。

《第18回総会(1970).III こんごどのように活動するか.1 院所活動を総合的に強化しよう.(1)民医連医療の実践をつよめよう.薬剤問題》

 各院所、県連に薬事委員会を設置し、薬効、副作用の研究と日常医療への正しい適用などを重視するとともに薬剤情報活動を活発にしていくことが大切です。これらの活動をすすめると同時に製薬独占資本の収奪についてのバクロとたたかいをつよめなければなりません。

《第18回総会(1970).III こんごどのように活動するか.2 経営活動をつよめよう.薬剤・資材管理の改善》

 薬品費の値上がりによる経営圧迫にたいして薬剤センターなどが県連段階、ブロック段階ですすめられつつありますが、これらの経験をひろげることが必要です。

第19回総会 1971.7、東京・九段会館

《第19回総会(1971).I この1年間をふりかえって.1 民医連医療をどのように実践したか.薬剤問題》

 新薬のはんらんに抗して、民医連医療の立場から、薬効と副作用の検討がすすみつつあります。
 東京保健生協では、慢性病患者にたいする長期の薬剤投与について、サイアザイドを長期に使用することにより、過尿酸血症、糖尿の誘発、カルシウムの減少などをみつけだし、また、埼玉、群馬などの県連院所にも東京などの経験に学んで、薬事委員会がつくられ、約束処方の作成をつうじて薬の有効性、安全性についての討議がすすめられています。一方、投与されたくすりが正しくのまれているかどうかの点検活動もすすめられてきています。しかし薬効の医学的な追求については、まだ一部の活動にとどまっています。

《第19回総会(1971).II わたしたちをとりまく情勢.2 医療の荒廃がはげしくなっている》

 低診療報酬がくぎづけにされ、昨年12月には薬品添付が全廃されるなかで、医療機関の経営困難はますますふかまっています。
(中略)
 また一方では、医師、医療技術者不足からくる患者の待ち時間の延長、薬品の大量投与、医師、医療労働者の労働強化、千葉大採血ミス事件にみられるような医療事故の増加、キノホルムによるとみられるスモン病など医原性疾病の増加、一部の精神病院の非人道的な患者扱いなど医療の荒廃がふかまっています。
(中略)
 いっぽう製薬独占資本は45(1970)年度には生産高を1兆円台にのせ、添付全廃直前には在庫を一掃し、全廃後は不当な高利潤をむさぼっています。

《第19回総会(1971).III こんごどのように活動するか.1 院所活動を総合的に強化しよう.(1)民医連医療の実践をつよめよう.薬剤問題》

 スモン病がキノホルムの関係で明らかにされつつあるように、薬剤の効果と副作用の科学的検討が医療活動上重要な課題となっています。
 したがってこれらへのとりくみをつよめるために各院所、県連に薬事委員会を設置し、薬効、副作用の科学的把握と日常医療への正しい適用のために努力する必要があります。
 この場合、とくに慢性病の診療基準の実践などと結合して、薬効副作用の検討を患者とともに追求することが大切です。また医療保険の抜本改悪反対のとりくみのなかで、製薬資本の収奪のバクロと批判をつよめていくことが重要です。

《第19回総会(1971).III こんごどのように活動するか.2 経営活動をつよめよう.薬剤、資材管理の改善》

 昨年12月の薬剤添付全廃以来、県連、院所での薬剤へのとりくみは一段と強化されましたが、ひきつづいて県連、院所での薬事委員会の確立や薬剤や資材の統一購入活動を強化する必要があります。とくに情報の交換や中央、県連規模の検討会等、情勢にみあったとりくみをいっそう強めなければなりません。また院所での薬品、医療器材の管理の強化や医学的な観点からの検討など総合的にとりくむことが大切です。

第20回総会 1972.2、大阪・中小企業文化会館

《第20回総会(1972).III 当面の諸課題.1 医療活動の充実、強化を》

 また、薬害が急増し社会問題になっている現状から、薬剤問題を重視することが大切です。

第21回総会 1974.2、京都

《第21回総会(1974).二 前総会いご2年間の活動.1 医療活動の充実強化について.(2)課題別の医療活動のとりくみ》

 薬剤問題では薬効や副作用に対して多くの院所、県連で薬事委員会が設置され日常医療への正しい適用のため努力し、全日本民医連薬事委員会とくんで「薬事通信」を発行し、情報活動が前進しました。

《第21回総会(1974).二 前総会いご2年間の活動.1 医療活動の充実強化について.(3)医師をはじめ医療技術者の研修その他》

 その他ケースワーカー交流集会、薬剤師交流集会、関東甲信越、西日本でそれぞれ検査・レントゲンの研修会が、また、東北規模で保健婦交流集会が開催され、各職種の技術学習や、チーム医療のなかにおける役割や任務についての検討も前進しています。

《第21回総会(1974).三 わたしたちをとりまく情勢の特徴点.2 低医療費政策下における医療荒廃の深化》

 医療機関の経営困難に拍車をかけている大きな原因一つは製薬大資本による薬品費をつうじての収奪がつよまっていることです。昨年の5月からはじまった医薬品の値上げは12月に入ると注文するたびに値上がりするという異常事態で、たとえばビタミンの注射液は4月には50アンプル包装で500円から600円だったものが、10月には800円、12月には1200円前後に急騰し、薬価基準をこえて値上がりしています。日本医師会の資料でも薬価基準で購入できない品目が70品目もあげられており、これらの医薬品を使用すればするほど赤字になるという状態で、ひどい品薄、品不足ともむすびついて製薬大資本はますます国民の医療を危機においこみ、高利潤をむさぼっています。

《第21回総会(1974).四 こんごどのように活動するか.1 民医連の院所活動のいっそうの前進のために.3 精神神経科医療、歯科医療、薬剤問題、東洋医学》

 すでに3回の全国的検討を通じて現在直面している薬と医療内容、薬をめぐる経済問題などが明らかにされていますが、わたしたちは、薬をめぐる情勢が患者、医療の上にさまざまなひずみを発生させている現状を正しくつかみ、薬の正しいつかい方を対置するとともに、このようなひずみが製薬資本保護の健保制度と製薬独占の利益本意の生産、供給にあることを広く訴え、健保制度の抜本的改善と、薬品、医療材料を国と製薬資本に保障させる運動の発展のために奮闘しましょう。

第22回総会 1976.2、静岡

《第22回総会(1976).II 前総会以後の2年間の活動.2 健康と医療をまもるたたかい.(1)診療報酬再引上げ、看護婦不足の解消、老人医療改善の3大要求運動》

 インフレ・狂乱物価のなかで49(1974)年2月に実施された、公称19%で実質17.5%といわれる診療報酬改定は反動的な「医薬分業」推進の第一歩をすすめるものでした。
 その第一は、製薬大資本による医療用医薬品の便乗値上げを容認する薬価基準改定のなかで薬剤差益を圧縮したことです。第二は、保検調剤技術料の格差を拡大したことです。
(中略)
 しかしこの10月改定も「医薬分業」推進路線をさらに鮮明にしたもので、再診料、往診料、検査料などの引上げとひきかえに、院外処方箋料を5倍引上げ、院内処方料との格差を拡大したところにその特徴があります。
(中略)
 また、制度有志、医薬品の購入価格引下げなどでも一定の成果をあげました

《第22回総会(1976).IV こんごどのように活動するか.1 民主的集団医療の実践と医療内容の向上.(1)民主的集団医療の実践の強化》

 第二に、各職種の質的向上が不可欠です。そのために多くの県連・院所で活発化している各職種の部会活動をさらに発展させることがのぞまれます。そのためには県連理事会や院所管理部が指導責任をもってあたることが重要です。現在県連では、医師はもとより看護婦、保健婦、薬剤師や臨床検査技師、放射線技師などそれぞれの技術スタッフの部会の確立ならびに発展にいっそう努力がはらわれており、県連、地方規模においては交流もさかんにおこなわれています。これらの活動を基礎にこんごは医師会、看護協会をはじめ各職能団体の学会などにも研究の成果を積極的に発表していくことが必要です。民医連の医療活動を多くの医療従事者のなかで研鑽することは大きな意義があります。
(中略)
 このような各職種ごとの部会の自主的な活動の発展と、疾患別のグループ活動や各職種の委員会活動の発展を基礎に、「全職種が参加する症例検討会」をさらに充実させ、患者のための技術向上をかちとりましょう。

《第22回総会(1976).IV こんごどのように活動するか.3 民主的な地域医療づくりと医療保障制度の拡充をめざして.(2)医療保障制度の拡充について》

 また、銘柄別収載に反対し、不当な審査、監査とたたかい、最近とくに増加している返戻についても重視する必要があります。
 保険調剤薬局は、政府が製薬大資本を有利にする「医薬分業」をすすめていくうえでアメとして設置を認めたものであるという大局的役割を正しく認識し、これを設置しているところをふくめてすべての医療機関が「製薬大資本を有利にする強制医薬分業反対、調剤技術料をただちに保険調剤薬局なみに引上げ、剤数、日数加算を認めよ」などの要求で一致してたたかう必要があります。

《第22回総会(1976).IV こんごどのように活動するか.4 技術者および事務系幹部の養成と教育活動の強化》

 また、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師などの技術者の対策
 も強化しなければなりません。とくに技術者対策で重視しなければならないことは、看護婦をふくめた新入技術職員に対する研修を計画的に実施することであり、人員の少ない職種については県連段階で対策をたてることがたいせつです。

第23回総会 1978.2、広島

《第23回総会(1978).II 前総会以後の2年間の活動.1 民主的な集団医療の実践と医療内容の向上.(1)民主的な集団医療の実践の強化》

 第22回総会方針は、民主的な集団医療について、(1) 医師の役割の重要性、(2) 各職種の質的向上−とくに部会活動の発展、(3) 医療体制の改善、を提起しました。これらについては、各連合会、院所でさまざまな努力がはらわれました。とくに第22回総会後に理事会が発表した「各職種の役割について−民主的集団医療の発展のために−(問題提起)」(以下、「各職種の役割」)と「各都道府県における部会活動の発展のために」(以下、「部会活動」)などの方針の討議と実践によって、いちだんと前進しました。
(中略)
 (2) 各職種の質的向上については「各職種の役割」の学習、討議とむすびついたとりくみが各地ですすみました。この中で、たとえば放射線技師は自らの役割について(1) 綱領、諸方針の理解と実践、(2) 民主的な集団医療の一翼をになう方針と技術水準の向上、(3) 業務点検、医学知識の吸収、(4) 技術水準の集団的獲得、(5) 患者、担当者の被曝線量管理、(6) 装置の保全、(7) 地域活動への専門性を生かした参加、(8) 技師会、他医療機関との交流、提携、(9) 経営と医療保障の立場を業務をつうじて追求、(10) 幅広い教養と知識、人間的なゆたかさなど、仕事に責任を負い、後継者を育て、綱領実践の先頭に立ち、長期展望をつくりあげる専門職種の役割をあきらかにしました。このような努力は、検査、薬剤、医療ソーシャルワーカー、東洋医学など他職種においてもすすめられました。
(中略)
 医学・医療の進歩にともない、医療の安全性の追求もますますたいせつな課題になってきています。新薬の採用などで薬事委員会の討議を経て点検したり、薬剤師交流集会が提起した副作用モニター制がとりあげられたり各院所でも症例検討で具体的な問題が提起されはじめています。

《第23回総会(1978).II 前総会以後の2年間の活動.2 新しい情勢に対応した経営活動の確立.(1)英知を結集して地域住民の医療要求にこたえる姿勢について》

 経営をめぐる情勢がきびしくなる中で、院所の経営の基礎は、患者、地域住民の要求に合致する医療内容、医療活動の充実にあるという観点を院所の経営方針改善の基本にして努力するという方針が、全県連、院所にほぼ定着してきました。
(中略)
 また、保険調剤薬局について、一部の診療所で閉鎖したところもあります。

《第23回総会(1978).II 前総会以後の2年間の活動.3 民主的な地域医療づくりと医療保障制度の拡充.(2)医療保障制度の拡充.(4) 診療報酬引上げと概算払い実施の要求について》

 政府は今回の診療報酬引上げ要求にたいし、国民の負担増と受診抑制をはかる健保改悪法の国会成立を前提条件として、国民と医療従事者との対立と分断を策し、引上げをおさえる態度をとりました。また、日経連などは製薬資本が保険財政に寄生して高利潤を欲しいままにしている現状を黙視しながら、保険医療機関にたいしては「乱診・乱薬」と攻撃するなど、診療報酬引上げに強く反対する態度をとったことは、断じて容赦することはできません。
(中略)
 また、薬価基準引下げによる診療報酬換算分2.2%について技術料へのふりかえをしなかったことです。さらに、薬価基準の銘柄別収載の実施など診療報酬引上げへの抑制策をつよめたことは容認することはできません。
 第二は、初診料、再診料、検査料、手術料などの是正、栄養指導料加算、調剤基本料の新設、差額ベッド、付添問題解消のための基準看護是正など、一定部分わたしたちの要求を反映しているとはいえ、多くの点で技術と労働が正当に評価されず、依然として低診療報酬となっています。

《第23回総会(1978).II 前総会以後の2年間の活動.4 技術者および事務系幹部の養成と教育活動の強化.(1)技術者の養成と教育活動》

 また、看護婦、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師などの技術者の対策も、計画的に強められてきています。
(中略)
 また、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、東洋医学関係職員、医療ソーシャルワーカーはそれぞれ全国的な交流集会をもち、その中でそれぞれの研修や人員確保の対策が強められています。

《第23回総会(1978).IV 今後どのように活動するか.1 長期的展望に立った医療内容の向上と民主的な集団医療の実践を強めよう.(1)患者、住民の医療要求に根ざした医療内容を向上させよう》

 (5)医療の安全性については、職員と患者の安全性確保、危機取扱い上の諸注意の徹底と点検、感染防止薬品副作用モニター制などを日常的にとりくめるように、院所の機構上の整備を研究するなど工夫する必要があります。

《第23回総会(1978).IV 今後どのように活動するか.1 長期的展望に立った医療内容の向上と民主的な集団医療の実践を強めよう.(2)民主的な集団医療の実践をいっそう強めよう》

 各職種については、「部会活動」の方針を軸に活動を強めます。この場合、職種によっては患者との接触の度合に強弱がありますが、医師をはじめ連携の強い職種の援助をえて、患者についての理解をふかめるなど工夫をする必要があります。また、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師など技術者がいない院所への援助も、対応する部会と院所管理部、県連が連携してとりくむ必要があります。

《第23回総会(1978).IV 今後どのように活動するか.4 医療保障制度の充実をめざして》

 政府は銘柄別収載と平均5.8%の薬価引下げによる薬価基準改定を2月1日実施しましたが、これは医療経営をますます圧迫し、製薬独占の支配強化をいっそう擁護するものです。したがって銘柄別収載に反対し、独占薬価の規制、医薬品の製造、販売流通制度の改善などのたたかいが重要になっています。
 同時に、薬価差益に依存しない医療経営の実現のためにも、医師、医療技術者の技術と労働の正当な評価にもとづく、診療報酬の引上げを要求してたたかうことが必要です。

《第23回総会(1978).IV 今後どのように活動するか.5 学習、教育活動を重視し、幹部養成を強めよう》

 薬剤師、臨床検査技師、放射線技師など技術系職員対策については、医師や看護婦についてのとりくみに学び、県連を単位にとりくみを強め、医師体制に見合った方針と体制づくりについて検討しなければなりません。

第24回総会 1980.2、愛知

《第24回総会(1980).II 前総会以後の2年間の活動.1 長期展望に立った医療内容の向上と民主的な集団医療の実践.(1)患者・住民の要求に根ざした医療内容の向上》

 分野別の活動では精神科医療交流集会が世話人会のよびかけで、5年ぶりに開催され、整形分野の振動病研究会をはじめ「腰痛研究会」や、薬剤問題検討会などがひらかれました。
(中略)
 病棟では、多面化し複雑化する入院患者に正しく対応するために、病棟クラークや病棟事務の導入、薬剤師、栄養士、MSWの進出などベッドサイドの医療を全職種で効率的に支える努力がはらわれるとともに、POSもひきつづき努力されています。
(中略)
 (9) 医療の安全性については、多くの院所で「安全衛生委員会」や「感染対策委員会」が設置されましたが、今後、HBウイルス感染をふくめ、ますます重要になっています。また、薬剤の「副作用モニター」制も症例検討でとりくまれています。

《第24回総会(1980).II 前総会以後の2年間の活動.4 医療保障制度の充実.(1)健保法抜本改悪案を廃案にしたたたかい》

 また、第88臨時国会では、国民の運動によって「医薬品副作用被害救済基金法」ならびに「薬事法一部改正案」を成立させ、薬害被害者の救済と薬害根絶の要求実現を一歩前進させました。

《第24回総会(1980).II 前総会以後の2年間の活動.5 教育・学習活動と研修、幹部養成.(3)看護婦、技術系職員》

 その他、薬剤師、検査技師、放射線技師などや、歯科分野で衛生士、技工士の各技術職もそれぞれ後継者づくり、技術研修へのとりくみが前進しています。

《第24回総会(1980).III わたしたちをとりまく情勢.1 医療をめぐる情勢.(3)国民と医療従事者の健康と医療をまもるたたかい》

 また、スモン裁判では金澤、東京につづいて福岡、広島、札幌、京都、大阪、前橋などの地裁でも相ついで勝利し、これをうけて、全被害者の早期救済のための「確認書」が締結され、カネミ油症でも第2次訴訟での仮処分申請に勝利しました。そしてこうした裁判闘争の勝利をテコとして2、3の問題を残しながらも、「医薬品副作用被害救済基金法」が成立し、カドミウム汚染地での土壌復元の推進、カネミ油症患者、スモン患者などの治療法の開発や恒久対策の実現をめざす運動がさらに展開されてきています。

《第24回総会(1980).IV 今後どのように活動するか.1 80年代の飛躍を展望する医療活動を強化しよう.(2)第一線の医療機能を重視し、医療内容の向上と医療連携を強めよう.(ロ)病棟機能をたかめよう》

  また中材、手術室、検査科、放射線、薬局、食養、物療などとの職種間協力をさらにつよめるため合同のミニケースカンファレンスや、回診への参加を日常化することが大切です。

《第24回総会(1980).IV 今後どのように活動するか.5 80年代の発展にふさわしい教育・学習・研修活動を旺盛に展開しよう.(4)看護婦、技術系職員》

 薬剤師、検査技師、放射線技師、歯科衛生士、歯科技工士、理学療法士、作業療法士など各技術系職員の受入れと研修、教育・学習についても、医師、看護婦の経験に学び、都道府県連を単位にいっそうとりくみをつよめることが必要です。

第25回総会 1982.2、福岡

《第25回総会(1982).III 前総会以後2年間の活動.4 医療保障、社会保障の充実のとりくみ.(3)診療報酬引上げのたたかい》

 わたしたちは、薬剤差益などに依存しない医療経営の確立のために、医療労働と技術の正当な評価と、物価や人件費の伸びを加味した20.3%の診療報酬引上げを要求し、厚生省交渉、中医協要請などねばり強く運動をすすめてきました。81年2月には医団連はじめ多くの団体と決起集会をひらいて世論に訴え、厚生省や関係団体への要請を強めました。
 健康保険法改悪後、厚生省は、81年6月1日付で診療報酬改定(8.9%)を実施しました。これは薬価基準の18.6%引下げと同時実施などによってほとんどの医療機関が減収となるなど新たな矛盾を生み出し、医療経営の危機を深刻化させました。今回の改定は臨調の先どりであり、医薬品メーカーの利益を温存させ、医療機関に「合理化」を強要するものとなっており、国民の求めている総合的な医療の実践をますます困難にするものです。

《第25回総会(1982).IV 今後2年間の活動方針.4 医師、看護婦、技術系職員、事務系職員の確保と資質の向上をつよめよう.(4)技術系職員》

 技術系職員の確保、教育・学習についても医師、看護婦の教訓に学んでとりくみをひきつづき強める必要があります。その場合、技術系職員は、部会を軸とした自主的で集団的なとりくみの経験をいっそう発展させるとともに、それが理事会、管理部の方針として位置づけられ、都道府県連、院所全体の理解と支持のえられるとりくみとなるよう努力しよう。

第26回総会 1984.4、宮城

《第26回総会(1984).II わたしたちをとりまく情勢.2 医療をめぐる情勢》

 (2) 広範な国民と医療従事者は社会保障の拡充、住民参加の地域医療の確立を強く要求しているにもかかわらず、自民党政府は「薬づけ」「検査づけ」「医師の脱税」「医療費のムダづかい」など大々的にキャンペーンをはり、それらの操作された世論を背景に昭和57(1982)年8月には共産党以外の野党の協力も得て「老人保健法」を成立させ、58(1984)年2月からは、政令事項で「老人医療特掲診療費」や「老人医療の取扱い基準」を決め、70歳以上の入院患者に対しては、投薬や注射、検査などの制限をもうけました。
(中略)
 その後本年1月厚生省は、3月1日からの16.5%の薬価基準の引下げと同時に診療報酬2.79%の「改定」を強行することを明らかにしました。
 今回の薬価基準の改定は厚生省の発表でも医療費ベースで5.1%に相当し、診療報酬の「改悪」との差引でも2.3%マイナスの改悪です。
(中略)
 また、製薬企業の健保への寄生に根を発した産官学ゆ着の体質が、医薬品の有効性と安全性を保障しえないことが徐々に明確化しつつあることも、この時期の特徴です。
 このように政府は、国民と医療従事者に負担と犠牲を強いる反面、製薬企業、医療機器企業など大企業に高い利潤を保障し、さらに民間疾病保険などの進出を促進する政策を強めています。

《第26回総会(1984).III 前総会以後の活動の総括.1 患者、住民との信頼関係を深め、第一線医療を強化する活動について.(3)技術の導入、安全性の確保、医療整備の推進》

 病院の規模の拡大、診療科目の増加、医師をはじめ、各職種(職員)の増加、機構、機能の複雑化、高度専門機器の導入などによって医療活動はいっそう多様化し、複雑化してきています。ことに診療科目間、職種間の連携や協力関係を改善、強化し、医療活動方針や業務基準を整備して医療活動を総合的に、しかも有効に機能することが求められています。
 それらを促進するための管理機構の工夫や、医療統計の活用、カルテ管理、情報システムの改善がはかられてきています。これらの先進例を創造的に発展させることが全国的な課題となってきています。この中で医療過誤を防止し、安全性を確保する重要性がますます増大していることはいうまでもありません。薬剤の副作用チェックの努力もはらわれ、副作用モニター制度が関係者の地味な努力によって全国集計されています。

《第26回総会(1984).V 今後2年間の活動方針.1 患者、住民と共同し、医療内容を高め、医療連携を強化し、地域医療の民主的形勢をさらにおしすすめよう.(6)強調すべき課題別医療.(2) 薬剤をめぐる情勢をみつめ、患者の立場に立つ活動を追求しよう》

 薬剤の過剰投与による国民医療費の上昇を口実に、総合ビタミン剤などの薬価収載除外、さらには軽微な疾病の医療費の全額負担の攻撃が強まっています。薬剤費上昇の真の原因は、新薬価算定方式と銘柄別収載方式にあることをわかりやすく大宣伝する必要があります。また日常の薬の副作用のチェックはいっそう重要さを増しています。誤与薬、配合禁忌などにさらに注意を払い、「心の通い合う」服薬指導にとりくみましょう。

第27回総会 1986.4、岡山

《第27回総会(1986).第2章 前総会以後の活動の総括.第4節 教育・学習活動の強化と医師、看護婦など技術者の確保と力量の向上について.(4)技術系職員について》

 技術系職員の受入れは、院所規模の拡大や技術構造の変化に対応し、それぞれ各県連、院所で積極的にとりくまれていますが、医療経営のきびしさも反映し職種別に大きな変化が出ています。85年の現勢調査によれば、この2年間の全職員の伸びは7.5%であり、理学療法士、作業療法士は70〜80%と伸びており、薬剤師、放射線技師も13%です。これに対し栄養士、検査技師は約3.1%の伸びにとどまり、鍼灸師、マッサージ師、医療ソーシャルワーカーなどはゼロないしマイナスの伸びになっています。
 技術系各職種ごとの部会活動もとりくまれてきました。技術学習や情勢学習をはじめ集団医療における役割と任務などについて真剣な討論がすすめられてますが、まだ職能団体における活動が弱いことや、諸困難に直面している職種もあり、県連理事会の積極的な援助が求められています。

《第27回総会(1986).第4章 今後2年間の活動方針.第1節 働く人びとの医療機関としての活動を充実、強化しよう.(4)各種医療課題の追求》

 薬剤をめぐる医療、保険上の諸問題にひきつづき留意し、日常診療における与薬ミス、副作用チェックの機構の維持、強化につとめます。

《第27回総会(1986).第4章 今後2年間の活動方針.第4節 医師、看護婦をはじめとする各職種の受入れと教育・学習活動を旺盛に展開しよう.(3)技術系、事務系職員の受け入れ》

 技術系職員の計画的、継続的な採用は、院所の体制強化にとって欠くことのできない課題です。
 技術系職員の受け入れや研修を、医師、看護婦のとりくみに学び制度化すること、確保がとくに困難な放射線技師やリハビリ関係の技術者、地方的に確保が困難な薬剤師などの技術者対策などを県連単位で法人、院所の協力のもとに実現することが重要になっています。
 これらの活動では、技術的な専門的力量の向上につとめるとともに、理念学習を位置づけて、民医連に働く技術系職員としての成長ができるようにする必要があります。そして、民主的な集団医療の成果や民医連運動の課題を職能団体のなかの活動として展開できるように努力します。

第28回総会 1988.3、群馬

《第28回総会(1988).第1章 私たちはこの2年間にどのように運動をすすめてきたか.第1節 働く人びとの医療機関としての医療活動.(8)薬剤問題》

 昨年11月にひらかれた薬剤問題検討会では、薬物治療における医師を中心とした民主的集団医療体制の重要性が指摘されました。各院所において、新薬の採用の増加などにより医薬品費が増加してきている中で、新薬採用の検討にあたっては安全性、有効性、経済性の3つの側面から十分な検討をおこなうことの必要性と、さらに新薬採用時と採用後の症例検討の重要性が再確認されました。とくにこの点で、薬事委員会への医師のかかわりをさらに強めることと、医局での討議と意思統一の重要性があきらかにされました。また医療材料問題についても討議され、管理の改善などのとりくみをすすめることの必要性が強調されました。

《第28回総会(1988).第1章 私たちはこの2年間にどのように運動をすすめてきたか.第3節 民主的管理運営の強化と、たたかう経営体制の整備.(1)86年度の経営状況》

 しかし支出の面では、とくに薬品費を中心に医療材料費、人件費の増加傾向が強まっています。
 とくに対前年度費で医療収入の伸びより、支出の伸びが上まわっている法人が半数近くあるなど、収支状況に悪化の傾向がみられ、ひきつづき努力が求められています。

《第28回総会(1988).第1章 私たちはこの2年間にどのように運動をすすめてきたか.第5節 医師・看護婦をはじめとした技術者の受け入れと養成.(3)その他の技術者と事務系職員の確保》

 薬剤師、PT、OTなどの確保は、全体的に前進しています。しかし放射線技師の確保は全国でわずか1500人しか養成されていない現状のもとで、必要数を確保しきれないでいます。
 また、地方によっては薬剤師、臨床検査技師などの確保で困難な院所があります。さらに事務系職員の新卒者の確保も十分な状況にありません。放射線技師をはじめとする確保が困難な技術者、新卒事務系職員の確保については、長期的視点に立った対策が必要になっています。

《第28回総会(1988).第2章 私たちをめぐる情勢.第2節 「中間報告」路線を中心とする自民党政府の攻撃と国民のたたかい.(5)診療報酬の見直し、減点などの攻撃》

 本年4月に予定されている2年ぶりの診療報酬の改定は、昨年末、大枠として平均三.4%(医科3.8%、保険調剤1.7%)の引き上げと薬価基準の引き下げ10.3%(医療費ベースで2.9%)が同時実施されることが決まりました。したがって医科では実質0.5%のプラスになるといわれていますが、86年度の引き上げが見送られたこと、また病診格差配分など、今後の作業によっては、実質引き下げとなる危険もあります。
(中略)
 また、最近は審査・減点、医療監視などの強化もひきつづきすすめられています。とくに、画像診断、検査、また高価薬などの減点・査定がめだっています。

《第28回総会(1988).第3章 私たちの今後の活動.第2節 具体的活動について.(三)医師・看護婦の受け入れと、医師委員会・看護委員会の強化.(5)医療技術者の受け入れ》

 放射線技師、薬剤師、PT・OTなどの医療技術者の受け入れを強化していくことが、全国的に重要な課題となっています。今日個々の法人・院所だけの努力だけでは打開しえない状況にあります。全国、ブロック、県連レベルで医師、看護婦の受け入れの経験、教訓に学び受け入れを強化するための体制を確立する必要があります。全日本民医連もこうした立場からとりくみを強めます。

第29回総会 1990.3、鹿児島

《第29回総会(1990).第1章 2年間の活動のまとめ.第1節 医療活動について.(6) 精神科医療、母子保健、小児、障害者、東洋医学、薬剤活動》

 薬剤分野では、院所での薬事委員会の活動のあり方、新薬評価のとりくみ、薬剤と経営・経済問題などについて新たに検討し、一定のまとめを行ないました。また、副作用モニターは年間3000件と厚生省の報告の3倍もの報告がよせられています。まとめは年2回行なわれていますが、より時宜にかなって臨床に役立つ情報伝達の強化が期待されています。

《第29回総会(1990).第1章 2年間の活動のまとめ.第3節 医師、看護婦などの受け入れと各職種の活動.(3)技術者》

 薬剤師の活動は、全日本民医連では薬剤問題検討委員会で取り上げてきました。1985年以降ブロックごとに薬剤師の交流をすすめることを提起してきましたが、実践はブロックによってまちまちであり検討が必要です。

《第29回総会(1990).第4章 今後2年間の活動方針.第1節 医療要求に総合的にこたえ、第一線医療の充実を.(二)総合的な医療活動を強めよう.(8)各課題別の医療活動.(2) その他の分野》

 薬剤活動では「副作用モニター制度」についてしくみを検討して、より臨床に役立つレポートの発行などを検討します。医薬分業が新たに強調されている情勢にあり、民医連の保険調剤薬局の実践をまとめ、方針をうち出すことが重要です。

《第29回総会(1990).第4章 今後2年間の活動方針.第4民医連運動の後継者の確保と養成、各職種の活動.(三)技術者》

 薬剤師、検査、PT、OT、ST、鍼灸マッサージなどそれぞれの職種の県連レベルでの活動を重視して進め、全国的な部会活動については自主的な交流の盛り上がりを基本に課題を明確にし、可能なところで世話人会を組織して活動を進めます。

《第29回総会(1990).総括答弁》

 さらに、厚生省の医薬分業の問題について、厚生省の意図しているところは、医療費削減のための病院外来での調剤の禁止や、薬価制度の根本改悪につながりかねないものをもっている点にふれます。これは12ページの薬剤活動の方針の部分で、調剤薬局の問題が新たに強調される情勢にあるというふうにいっていますが、その中身になります。
(中略)
 調剤薬局の検討内容について明らかにしてほしいという質問がありました。これはまず、現状を分析して、現在の民医連の医療活動との関連や問題点、さらに、法人のあり方等々がかかわってきます。今後、理事会のなかで具体的に検討していくことです。

第30回総会 1992.2、福島

《第30回総会(1992).第1章 活動のまとめ.第1節 総合的医療活動はどのようにすすめられたか.(9)各課題別の医療活動のとりくみ.(5) 薬剤分野の活動》

 日本全体の「医薬分業率」(院外処方箋枚数比率)は約14%と推定されていますが、91年8月現在、民医連に加盟する保険薬局は39に達し、急速に増加しようとしています。全日本民医連は91年6月「医薬分業の新たな情勢と保険薬局活動の改善について」の方針(民医連資料,91年9月,P.28〜36)を5月の検討集会をふまえて決定しました。7月には「副作用モニター員活動交流集会」を開きました。モニター員は34県連65院所、報告数は3000をこえ、厚生省モニターの2倍以上となっています。この集会には厚生省の担当者も出席し、民医連の活動を評価しました。民医連の副作用モニターの活動は現場へのフィード・バックにより、医療現場での薬物治療の安全性をたかめる運動としてとりくまれているところに重要な意義があります。
 薬価の加重平均方式への変更と建値制度の導入という状況をとらえて、91年11月に全日本民医連として緊急の対策会議を開きました。92年春の診療報酬・薬価の改定は重大な転換点となろうとしており、中止する必要があります。
 副作用情報の意義と薬価情報の重要性からより安定して敏速な対応が可能となるように、仮称「薬事情報研究会」という新たなしくみを提案し、各県連での検討を養成しました。

《第30回総会(1992).第1章 活動のまとめ.第4節 後継者の確保と養成、各職種の活動、教育学習のとりくみ.(3)技術部門.(1) 薬剤師》

 従来は新卒薬剤師の33%が医療機関に就職していましたが、現在は19%に減少しています。薬剤師の確保は困難さをましており、重視しなければなりません。
 薬剤師の活動ではDI活動、副作用モニター、服薬相談、薬歴管理、在庫管理の改善、職能分野での積極的な活動がすすめられています。これらの活動が関甲信越、関西、東北などのブロックでは交流会などで普及されています。

《第30回総会(1992).第3章 今後2年間の方針.第1節 総合的医療活動の強化.(7)各課題別の医療活動.(4) 薬剤》

 薬価情報と副作用モニターの新しいしくみについて、全国的な合意を得て実践します。保険調剤薬局の問題は全国的重要課題となっており、状況を把握し、全日本民医連理事会としての指導体制について検討します。医療機関での薬剤師確保はきびしさを増しています。薬剤師の受け入れや職種としての活動について薬剤問題検討委員会としての対応を強めていきます。

《第30回総会(1992).第3章 今後2年間の方針.第4節 後継者の確保、各職種の活動を前進させ、民医連運動をになう人づくりをすすめよう.(3)技術部門.(1) 薬剤師》

 後継者対策を重視します。県連としての職種の活動をすすめ、ブロックでの交流等を各県連の確認のもとにすすめます。

《第30回総会(1992).第3章 今後2年間の方針.第4節 後継者の確保、各職種の活動を前進させ、民医連運動をになう人づくりをすすめよう.(5)各職種の部会活動と県連・ブロックでの活動について》

 民医連運動が職員を主体的な担い手とする運動である以上、医師・看護婦を含む各職種の部会がつくられ、みずからの職種の力量向上や後継者対策等についてみずからとりくみ、運動にも着手していくことは当然の方向であり、民医連運動としては歓迎すべきことです。しかしながら、実際問題として各県連の予算はきびしい経営状況のもとで厳密な執行が求められざるを得ない状況があります。ここから各職種の県連レベルでの活動やとくにブロック段階での活動で、ときとして矛盾も生じています。すすんだブロックではブロック事務局長会議が窓口となって、県連理事会の承認を受け、年間等の長期予定をはっきりさせて対応しています。今後、このように予定を明確にして調整していくことが必要です。全日本民医連が責任をもつブロックレベルの活動についても緊急なものもありますが、今後最大限同様に対応していきます。

《第30回総会(1992).運動方針提案説明》

 保険薬局について、関連する他団体との方針上の違いの指摘がありました。民主的保険薬局の積極的な意味は85年以来すでに明らかにしています。地域的な合意が十分にはかられるべきことは当然のことです。

《第30回総会(1992).総括答弁》

 各職種の教育と活動の問題については、薬剤師の後継者問題を補強します。その他、各職種・各科の問題については修文・補強もありますが、より理事会がその実情をよく理解し、誠実にこたえていく課題と考えます。全日本民医連に情報を積極的によせていただきたいと考えます。

第31回総会 1994.3、徳島

《第31回総会(1994).第1章 活動のまとめ.第1節 総合的医療活動の到達点.(2)共同の営みの医療活動の探求》

 そして、私たちの日常の診療の中でも、その条件の保障がきわめて不十分であるにもかかわらず、さまざまな実践が試みられてきました。各地での「がん告知」、薬の副作用の説明、ウォーキングカンファレンス、さらに症状説明や薬効について用紙を渡して説明する(富山)、患者会からの意見や質問にこたえるために全職種参加の症例検討を行ない、医療内容を改善していった(愛知・南生協病院)、院所利用委員会の活動の広がり、共同組織の院所運営への参加、患者会の要求を共同して自治体への要求運動に発展させた経験(福岡、山形)等々、共同の営みの医療活動が個々の患者と医師・医療チーム、患者会・共同組織と医療機関、患者・住民と医療機関の協力した自治体への運動などのさまざまなレベルで探求されてきました。

《第31回総会(1994).第1章 活動のまとめ.第1節 総合的医療活動の到達点.(8)各課題別の医療活動.(3) 薬剤問題・保険薬局問題》

 この2年間に薬の問題でも重大な変化がありました。
 「4.4」改定と同時に行なわれた薬価の算定方式の変更と建値制(仕切価格制)によって、薬価の引き下げと納入価の上昇という医療経営を圧迫する事態がつくりだされました。全日本民医連は薬剤問題検討委員会を中心に厚生省・メーカー・問屋・公正取引委員会等に申し入れを行ない、不当性をあきらかにしてたたかいました。同時に購入担当者会議をひらき、対応をすすめました。
 このような状況の下で保険薬局の新設が全国的にすすみ、94年2月現在70(民医連未加盟9)(前総会以降プラス21)となりました。
 保険薬局交流会(93年1月)、薬局法人関係者会議(93年10月)をひらき、医療整備をすすめ、民医連の薬局としての活動をどうすすめるかを討議しました。また、厚生省の「薬局業務運営ガイドライン」について、プロジェクト・チームで検討してきました。
 副作用モニターの活動は、東京民医連薬剤師部会と東京薬剤センターの協力を得て実務体制が改善され、活動が定着しています。施設基準適合病院入院調剤技術基本料のとれる入院患者服薬指導等の業務(いわゆる400点業務)のとりくみが活発にすすみ、交流会をひらきました。

《第31回総会(1994).第1章 活動のまとめ.第4節 後継者の確保と養成、教育活動.(3)技術部門.(1) 薬剤師》

 薬剤師世話人会は30期につくられ、主に後継者対策とブロック別交流にとりくみました。「薬剤活動現況調査」と「93年度薬剤師採用状況調査」を実施しました。採用状況は大変きびしい状況で、35県連、111施設の回答によれば、209名の募集にたいして89名の採用となっています。服薬指導、DI、400点業務などの薬剤活動が民主的集団医療の一部として活発に行なわれ、それを大いに学生に訴えているところで薬剤師の充足率が高いという傾向がみられます。薬科大学のない県連は苦戦しています。
 ブロック交流集会は、関東甲信越、近畿、九州・沖縄でひらかれました。

《第31回総会(1994).第2章 私たちをとりまく情勢.第2節 日本の医療をめぐる2つの道のたたかい.政府・厚生省の医療改悪の動向》

 93年には保険制度の抜本改悪、給食、室料、治療材料や薬の保険はずしの方向がうち出されました。給食の患者負担が1日800円の場合でも、お年寄りの長期入院患者にとっては一挙に2倍以上の負担、健保本人には食費の負担が4倍以上になる大改悪です。94年にはこの健保法改悪案が国会に提出されます。さらに、94年の診療報酬の改定は4月と10月の2段階改定となりましたが、引き上げ幅は実質2.7%(厚生省発表)ときわめて低いものであり、中小病院や診療所ではマイナスのところも多くあると予想され、第一線医療の機器はさらに深まることが懸念されます。
(中略)
 (3) 医療内容への不当な制限・介入と責任のがれです。
 「規制緩和」を口実に、国が医療内容を保障するうえでの責任をあいまいにする一方、療養担当規則を改悪して経済的監査・指導をいっそう強めようとしています。また、薬剤数の制限を拡大し、ビタミン剤の処方を制限する、人工透析でのマルメ(行為別点数の包括化)による薬剤使用や検査の実質制限など、医療内容を不当に制限するものとなっています。

《第31回総会(1994).第3章 今後2年間の方針.第1節 民医連医療の旗を高くかかげ、綱領の原点に立って民医連ならではの医療を築き上げよう.(7)各課題別の医療活動.(2) 薬剤問題、保険薬局問題》

 薬の問題がどうなっているのか、製薬独占資本が保険財政に寄生しつつ、海外進出をねらい、莫大な利益を蓄積していること、その一方で納入価が引き上げられて医療機関の経営は圧迫され、国民は高い薬をおしつけられている(日本の薬剤費は英・仏・独の合計に匹敵する)、HIVの血漿製剤を通じての感染が生じた事例のように、安全性さえおびやかされていることなど広く世論に訴えるとりくみを重視します。副作用モニター、薬剤情報活動など薬の分野で先進的経験をうみだしてきた民医連薬剤活動を広く知らせ、さらにとりくみをすすめます。
 保険薬局にたいする全日本民医連の指導体制を強化します。「薬局業務運営ガイドライン」についての全日本民医連の検討結果を全体のものにすることが大切です。医薬分業の進行とのかかわりで、医薬の連携、民主的集団医療のあり方等について実践をすすめつつ研究し、「薬剤師政策」のようなかたちでまとめる方向を探求していきます。

《第31回総会(1994).第3章 今後2年間の方針.第4節 民医連運動の後継者づくりに全力をあげよう.(3)技術部門.(1) 薬剤師》

 世話人会を中心に後継者対策、ブロック別の交流などにとりくみます。保険薬価のあり方、患者の権利を守る薬物治療について研究していきます。

《第31回総会(1994).第3章 今後2年間の方針.第6節 県連、全日本民医連の団結を強めて前進しよう》

 情勢から診療材料や薬の問題などで全国レベルでの事業対応をという意見もありますが、体制面など困難なことも多く、慎重に検討していきます。

《第31回総会(1994).用語解説》

・建値制
 医療機関が健康保険の診療において使用できる医薬品の範囲と使用した医薬品の保険での支払い価格を定めたものを薬価基準といいます。この薬価基準は、厚生省が2年に1回行なう医薬品購入価各調査の結果をもとに決められます。現在は、平均価格に改定前の薬価の一定割合を上乗せしたものが薬価となります。92年の改定から段階的に上乗せ幅を小さくし、薬価差益を縮小する方向です。
 「建値制度」とは、医薬品メーカー、卸問屋、医療機関の3者の取引に導入された新制度の通称で、92年4月から全面実施されています。それまではメーカーと医療機関の交渉で決められた納入価格で卸問屋が納入するという方式でしたが、「建値制度」ではメーカーが一定の価格で問屋に卸すため、医療機関は問屋との交渉で価格を決めることになりました。
 日米構造協議にこたえて1991年以来、メーカーの卸問屋にたいする価格支配を排除する方向で、医薬品の分野でも流通過程の近代化がはかられてきました。しかし、その過程で導入された「建値制度」のため、メーカーの希望納入価格にそって値上げがすすめられるようになり、その結果、薬剤メーカーの利益は飛躍的に伸びる一方、薬価の切り下げと建値制度による抑えにより医療機関の負担はいっそう大きくなっています。
・400点業務
 施設基準適合病院入院調剤技術基本料(「6.4改定」で600点となった)のこと。入院患者にたいする服薬指導や注射薬管理を中心とした薬剤業務にたいする薬剤師の技術料として、1人の患者にたいして1ヵ月あたり400点が算定できることから「400点業務」と通称されています。ただし認可されるための条件として、(1) 病床数が100床以上であること(この条件は「6.4改定」でなくなった)、(2) 医薬品情報管理室およびその責任者を有することなどの施設基準に適合し、週1回以上の服薬指導や投薬・指導記録の作成などの業務を行なっていること、が義務づけられています。88年4月の新設時は、病床数は300床以上で算定点数が100点だったことから「100点業務」ともよばれていました。
 全国の認可施設数は、93年6月現在で544。民医連では93年10月現在、43病院が認可されています。
・DI
 Drug Information(医薬品情報)の略。医薬品は正確で十分な知識と経験にもとづいて使用されてこそ有効性が発揮されるものです。製薬企業や国が提供する情報だけでは不十分なため、民医連だけでなく全国の病院・診療所や薬局では、薬剤師を中心に医薬品情報の収集や提供に日々努力しています。
 日常的な情報提供では、1)錠剤鑑別、2)薬剤の基本情報、3)採用薬の照会、4)用法・用量、5)中毒時の対応、6)配合変化・混注、7)副作用情報、などの問い合わせへの対応が相当数にのぼります。
 また臨床で薬物治療基準を検討することや副作用の症例を収集し、薬事委員会や県連のDI委員会などで集団的に検討し教訓としていくことも、薬物治療の進歩のうえで重要な課題のひとつです。
 とくに「医薬品の適正な使用」が叫ばれる中、DI活動のいっそうの発展がいわれています。

《第31回総会(1994).私たちの要求》

I 診療報酬改善の要求
(2)診療報酬関連制度の改善に関する要求
 3、薬価基準は、流通価格による決め方をやめ、製薬企業による製造原価の公表、薬価調査結果の公表を行ない、適正利潤の保障を含めて正当な製造原価にもとづく薬価基準の適正化をはかること。薬剤保管損耗料を医療機関に認めること。銘柄別収載方式をあらため、統一名収載方式とすること。
 4、施設基準適合病院入院調剤技術基本料の施設基準のうち、点数を引き上げること。 薬剤に関する審査は、添付文書からの機械的査定ではなく、薬理作用を重視したものとすること。
IV 医療保険制度に関する要求
(1)健康保険の改善
 11、薬代、入院給食などの保険はずしをやめること。
VI 医療保障制度に関する要求
(4)薬害被害者の完全救済と薬害の防止、薬事行政の抜本的改正
 1、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法を改善して、民主的運用をはかり、薬害被害者への手続きの簡素化、損害補償の拡大、治療、リハビリテーションの充実をはかること。研究振興事業を切り離すこと。
 2、真に国民の立場に立って、医薬品の有効性、安全性、高品質、適正価格を保障しうる薬事法の抜本的改正を行なうこと。米国などの外国医薬品ならびに医療用具の認定基準緩和をやめること。
 3、医薬品の有効性、安全性の保障に国の責任を果すため、国の臨床試験体制をつくること。
 4、医薬品の安全対策強化のため医療機関に副作用モニターの専任体制を確立し、その経費を保証すること。
 5、中央薬事審議会の体制を充実し、運営を民主化して、製造承認制度の適正化をはかり、情報を公開すること。
 6、医薬品再評価において、有効性、有用性について十分な判定を行ない、判定結果だけでなくその情報を公開すること。ならびに、新開発医薬品の副作用報告期間と開発先発権保障期間を分離し、先発権期間の短縮化をはかること。
 7、厚生官僚の製薬会社への天下りを禁止すること。製薬企業と政府、厚生省、一部医薬学者の癒着をたちきる処置をとること。
 8、許認可事項の一部自治体移管に関連し地方の薬務行政の充実をはかること。
 9、大製薬企業の販売、流通支配をやめさせ、民主化すること。小包装の製造を義務づけ販売させること。局方薬や希用薬の製造・販売を保証する処置をとること。
 10、真の製造物責任法を薬剤・医療材料にも適用すること。
 11、医薬分業については強制分業は行なわないこと。薬局の技術料から薬局の経営管理料を分離し、薬剤師の技術料については病院・薬局間の格差をなくすこと。

《第31回総会(1994).第31回総会方針討議の中で出された意見について(第3回理事会)》

・第3章第1節(7)(2) の保険薬局の問題について、保険薬局は準ずる組織とされているが正式加盟としてほしい。保険薬局の開設が多くなっているが、経営上の理由からの安易な建設になっていないか。
 「準ずる組織」は、保険薬局、看護学校、訪問看護ステーション、老健施設など病院・診療所以外のすべての施設を総称しているもので、これらの施設の民医連への加盟は正式の加盟であり、準加盟ではありません。総会の代議員数基準なども病院・診療所と同様にあつかわれています。
 院外処方箋の発行、保険薬局の新設が多くなっているのは近時の診療報酬改定にたいする対応であるとともに、民主的な医薬分業を地域的に推進し、地域における新しい医療運動の拠点をつくる方向に向かって努力がされていることであると考えます。保険薬局についての全日本民医連理事会としての指導機構(保険薬局委員会)をつくり、指導を強めます。

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