「東葛の健康」連載コラム 2001年7月~12月
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No. | 月 | 表題 | 執筆者 |
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39 | 11月 | クスリの保存期間てどれぐらい? | 西園寺 綾 |
38 | 10月 | 不眠症の治療薬について | 中村 建 |
37 | 9月 | 薬による尿・便の色調変化について | 岡田 まさ子 |
36 | 8月 | “お薬手帳”お持ちですか | 平泉 君江 |
35 | 7月 | 日焼け止め剤は上手に利用 | 山内 清恵 |
クスリあれこれ No.39 2001年11月
西園寺 綾
風邪っぼい、胃の調子が悪いときなど、薬局で市販の薬を買って使用することがあると思います。そういった時、症状が良くなって使わずに残ってしまった薬はどうしていますか? いつまでだったらとっておいてもいいものでしょうか。
薬のビン・箱などに記載してある有効期限は製品を開封しないで、指定された保存条件下においた場合に品質が保証される期間です。開封後の品質を保証するものではありません。けれど、開封してしまった薬でも、1)しっかり栓をすること。2)直射日光を避けること。3)高温多湿を避けること。これらを守って保存すれば、記載の有効期限を薬の使用可能な期限の目安とすることができます。
また、有効期限の記載のない薬もありますが、これは製造年月日から3年を有効期限とするものです。同様に保存すれば3年が使用可能な目安になります。
では、病院でもらった薬が残ったり余ったりした場合はどうでしょうか。その薬が錠剤で、ヒートシールに入ったままであれば、前述の保存方法に注意していただければ、だいたいもらってから1年程度は有効と思われます。散剤や水剤の場合は期間が短くなります。特に水剤は雑菌が繁殖しやすいので1カ月程度を目安としてください。それぞれの詳細についてはもらった薬局などに確認するといいでしょう。
外用剤(塗り薬、貼り薬など)に関しても同様の注意で結構ですが、目薬だけは違います。雑菌の繁殖を防ぐためにも、開封して3カ月経過したら使用を中止して下さい。
また、どんな薬でも、外見上(色、手触りなど)に変化が現れた場合には使用を避けてください。
クスリあれこれ No.38 2001年10月
中村 建
日常身の回りにあふれる様々なストレスは、情動を司る脳の中枢を興奮させ、寝つきを悪くすることがあります。このような状態が長く続くと、不眠症となります。
不眠症には三つのタイプがあります。
(1) 入眠障害 … 寝つきが悪いタイプ
(2) 熟眠障害 … 睡眠途中で何回も目が覚め、夢ばかりみて眠れないタイプ
(3) 早朝覚醒 … 寝つきは比較的よいが夜が明けないうちに目が覚めるタイプ
眠れない状態に対しては、まず自分なりに工夫をしましょう。例えば適度な食事と飲酒。読書、就寝前の軽い入浴など、眠りやすい条件を整えます。
それでも熟眠感が得られない場合に不眠症の治療を行ないます。現在、治療薬の主流をなしているのはベンゾジアゼピン系に属する睡眠導入薬で、作用時間によって分類されます。
(1) 超短時間型 ‥ ハルシオン、アモバンテス(入眠障害)
(2) 短時間型 ‥ ソレントミン、【デパス】(入眠障害・早朝覚醒)
(3) 中~長時間型 ‥【セレナミン】、ニトラゼパム、ユーロジン(熟眠障害・早朝覚醒)
【 】のものは安定剤としても使用します。
不眠にいくつかのタイプがあるように、睡眠薬も使い分けられるのです。指示通りに服用し、以下に述べる点に注意している限りでは、副作用も少なく安全です。
これらの点を正しく理解し、医師の指導を守れば、睡眠導入薬による適切な治療をスムーズに進めることができます。また、睡眠導入案は人によって合う合わないがあるので他の人に薬を譲ることは絶対にしないでください。必ず医師と相談しながら治療を進めていきましょう。
クスリあれこれ No.37 2001年9月
岡田 まさ子
「あれ、今日は、尿の色がいつもと違うな。
どうしたんだろう」と心配になった経験はありませんか。
以上尿・便の色調変化をきたす可能性のある薬の一部をあげてみました。服用によって必ずしも着色するとは限りませんし、本人の体調や食事の内容にょっても尿や便の色は変化します。
「尿や便に着色することがあります」と注意された薬に関しては心配ありませんが、いつもと同じ薬を服用しているのに尿や便の色が変わった時は、念のため医師・薬剤師にご相談ください。
クスリあれこれ No.36 2001年8月
平泉 君江
“お薬手帳”お持ちですか?
最近、薬局・病院などでお渡ししている「お薬手帳」についてお話します。
「お薬手帳」とは、一言で言うと患者さん自身のお薬の履歴書です。患者さんが飲んでいる薬がすべて記載されているので、どこの病院へ行っても「お薬事帳」を見てもらうことで、現在飲んでいる薬と同じ薬が処方されることはありません。また、薬の飲み合わせもキチンと考えて処方していただけますので、安心して服用できます。
「お薬手帳」は、2000年4月から全国的に発行されるようになりました。この手帳ができた経緯は1993年国内の患者15人が別々の病院から抗ウイルス剤と抗ガン剤の処方を受け、いっしょに服用し死亡した事件がきっかけとなっています。服薬指導と薬歴管理が重視されるようになり、「お薬手帳」も全国各地で始まるようになりました。
わかば薬局でも2000年7月より希望者にお渡ししています。この「お薬手帳」に記入する行為は、医療保険で「薬剤情報提供」として定められた医療行為です。
そのため、薬代が無料の方は負担がありませんが、自己負担のある方は20円(一割負担)~50円(三割負担)の自己負担をしていただいています。
去年の朝日新聞“私の視点”に、「お薬手帳」の必要性を記載した記事がありました。抗擬血剤(血液を固まりにくくする薬)を飲んでいる方が、歯科で「お薬手帳」を見せたことで、抜歯後の出血が止まらなくなるという事態を避けることができたという例からその必要性を訴えています。
服用した薬の記録を残すことは、あなたがこれから治療を受けるときの大切な資料になります。
まだ「お薬手帳」をお持ちでない方は、ぜひわかば薬局で声をかけてください。「お薬手帳」を用意してお待ちしています。
クスリあれこれ No.35 2001年7月
山内 清恵
昔から「色白は七難かくす」など、女性には紫外線対策は、なじみ深いものですが、最近は子どもや男性にも注意が必要と言われています.
太陽光線には、ビタミンDを産生し骨をじょうぶにしたり、皮膚の抵抗力を高めたりと、適度の日光洛は身体に良い作用があります。
しかし、急に肌を焼くと水ぶくれとなったり、慢性的には女性の気になるシミ、シワなどの原因になります。
また、皮膚ガンにつながる細胞へのダメージを与えることがわかってきました。
特に悪影響を与えると考えられている紫外線を防ぐ一つの方法として、日焼け止め剤があります。
紫外線には、真皮(肌の奥)まで作用するA 波、肌の表面に作用するB波があります。
日焼け止めには、「SPF」「PA」という表示があります。
SPFはB波を防ぐバロメーターで、日焼け止めを塗った所と塗らない所で、皮膚に同様の紅撫を生じるのに要する時間の割合を示します。
たとえば、なにも塗らないと十分で百焼けする人が「SPF15」を使用すると150分かかって赤くなるというものです。
ただし、SPFが高すぎてもB波の防御率は変わらないとされています。「SPF30」で96.7%防御と考えられ、SPFの高いものを使うより、塗り直しをしたほうが効果的と思われます。
PAはA波をどの程度防止できるかの目安で、三段階に区別され、通常「+」の記号で、多いほどブロックする効果があるとされています。
また、成分にはUV (紫外繚)を吸収するもの、散乱させるもの、化学物質・天然物質とあります。
これから、日差しが強くなりますが、帽子などの紫外線対策だけでなく、自分に合った日焼け止め剤を選んで、楽しい夏をお過ごしください。